不定期連載シリーズ「私の青春時代」、いよいよ高校受験編に突入です。
灼熱の暑さに歯を食いしばって練習を重ねて目指した京都市中学校夏季大会は、たしかベスト16でPK戦で敗退し、私はサッカー部を引退しました。
あとは一瀉千里の受験勉強に突入です。
多くの人も経験されたと思いますが、私も部活を引退したときは、ポッカリと心に穴が開いたような空虚な寂しさにとらわれました。
受験という、得体の知れない巨大なハードルに直面し、当惑してしまったのです。何しろ、将来の方向も茫漠とした時期ですので、何がしたいのか明確にできていなかったので、今から思ったら仕方がないことですよね。
そんなある日、私は父の購入した文庫本を見つけ、密かに読みふけりました。五木寛之「青春の門」です。中学生には過激な描写もふんだんにあったこともあり、私はこの作品で描かれた青春のホロ苦さと危うさに熱中しました。3巻め以降は自分の小遣いで購入して読み続けたくらいです。
そして、わけもないのに「東京の大学にいきたい」「出来たら主人公と同じ早稲田に行きたい」という、無分別で浅はかな夢のような思いに捉われたのです。・・・・・今から思うと微笑ましいですが、アホな話です。
当然、両親は猛烈に反対しました。今の私なら両親の言い分にまったく同感ですが、当時は言うことを聞かないのが若さの特権ってヤツでして、私は断固として言い張ったのです。
夏休みが終わったとき、三者会談がおこなわれました。教室の一角に私と並んで座った母親は言わなくてもいいのに担任に訴えました。「息子が早稲田に行きたいと言って困っています。今の成績で大丈夫なのでしょうか?」
担任は、ちょっと驚いた後、口元をゆがめて言葉を発し始めました。何と言ったのか? ――続きは次回(えーっ? もったいぶんな! という声あり)