私の大好きな本の数々をつれづれに紹介します。

「地方議会を再生する」相川俊英

2017年4月8日

おかげさまで2007年4月に京都市会議員に当選させていただいて、今年で丸10年。毎日が多忙で、なかなか自己研鑽の時間がとれませんが、焦りにも似た危機感を抱いて貪欲に学んでいます。ネットでの検索も重要ですが、私は極力本屋さんに足を運んでインクの匂いを嗅ぎながら、お目当ての書籍を探す日を作る努力をしています。

「焦りに似た危機感」とは何か? それを以下に述べます。

東京一極集中の中央集権機構の弊害が「二重行政」や「縦割り」として表面化し、市民に身近な地方分権の重要性が希求されています。人口減少の超高齢化時代に突入した今、政府は地方自治体が主体的に活性化を推進する「地方創生」に本腰を入れています。しかしながら、各地域で司令塔的な役割を果たさなければならないはずの議会は、何をしているやらさっぱり見えない不透明な情けない実態であり、そのために地方選挙の投票率は低迷し、市民の関心はなかなか上がりせん。

それどころか、セクハラやいかがわしい犯罪、政務活動費の不正に関する不祥事などがニュースをにぎわし、「地方議員など不要である」といった極論も出されるなど、議員の在り方が根本的に問われています。私は、それを真剣に受け止め襟を正していくべきであると同時に、「市民の代表」である事実を今以上に重く受け止めてなければならないと強く思っています。地域をコツコツ歩いてナマの声を真正面から受け止め、行政との議論を重ねる中で1つ1つ結果を出さなければ市民の期待に応えているとは口が裂けても言えないと、自覚を新たにしているところです。

その決意を、口先だけではなく行動で示さなければならないとの思いで、本会議や委員会などの場での質疑に全力投入するとともに、政策提言や予算要望を議員団として取りまとめて世に問う作業にも励んでいます。そして、自己研鑽を深めるために政務活動費の中の「資料購入費」で、新聞各紙や総合雑誌などを購読するだけでなく、幅広い知見を求め思索を深めるため書籍を購入しています。27年度は35冊、28年度は40冊を数えました。

今年(2017年)の3月に集英社新書として出版された本書は、「週刊ダイヤモンド」や報道番組「サンデープロジェクト」にかかわったフリージャーナリスト相川俊英氏が、25年間もの長い期間取材して幻滅を味わい続けていた地方議会の新しい可能性を長野県飯綱町議会に見出し、綿密な取材を重ねて再現したルポルタージュです。

本書の表現を借りれば、「行政の単なる追認機関でしかなく、本来果たすべきチェック機能を全く発揮できずにいたダメ議会」が、第三セクターの経営破たんを防げず町民に過大な負担を背負わせたことを重く受け止めて、議員自らが学習と話し合いを重ねて果敢な挑戦を重ねた結果、「日本の地方議会の中でも指折りの先進議会に生まれ変わった」という実話です。

全国の地方議会でブームのように「議会改革」がクローズアップされ、様々な取り組みが試みられています。飯綱町では、そのなかでポピュラーな「議会基本条例」「議会報告会」「議員間討議」「議員提案政策条例」は当然として、どれにとどまらず「政策サポーター制度」や「議会広報モニター制度」というオリジナルなアクションを定着しています。ホンマに素晴らしいと感心しました。

詳しい中身は、本書で飯綱町議会の10年にわたる悪戦苦闘が赤裸々かつドラマチックに描かれており、大変にわかりやすく参考になります。京都市とは規模も違うため、そのまま同じような制度を導入するべきであるとは思いませんが、真摯に見習うべき点は多いのではないでしょうか。少なくとも、議員1人1人が互いの立場を尊重しつつも、心を開いて意見を交わし、現状打破への挑戦を粘り強く進めていった軌跡に敬意を表さずにはいられません。大いに刺激を受けました。おすすめです!

かつては、誰が議員になっても変わらないという時代が続いていましたが、今は地域の課題は地域で解決していかなければなりません。市民の声に耳を傾け地域の課題を的確にとらえ解決に尽力できる人材が不可欠です。著者は、「特定の地域や特定の団体、特定の個人の要望を行政に伝えることは議員の仕事ではない」と断じ、「議員の役割は単なる監視機能だけではなく、政策提言で執行部と切磋琢磨するレベルにまで広がっている」と述べ、「議員に求められる資質」は4つあると提起しています。以下に引用します。

「1つ目は使命感である。地域住民のために活動するという使命感をしっかり持った人でないと話にならない」

「2つ目はコミュニケーション能力である。多様な意見に耳を傾け、冷静に話し合える器を持っていることが不可欠となる」

「3つ目は、まっとうな生活感覚と旺盛な知的好奇心である。視野が広く、新たなもの・未知なるものに興味を持つ高感度な人が望ましい」

「4つ目は、一緒にいるだけで楽しくなるような人だ。自然にいろんな人が寄ってくるようなタイプが望ましい」

「侃々諤々の議論を重ねながら、最終的に議会としての意見をまとめ上げていく。そういうことができる資質をもった人を、議員に選ばなければならない。いい加減な人を議員に選んでしまうと、その地域は間違いなく衰退していく。(略)そうなってしまうことへの危機感を1人ひとりの住民が持たなければ、地方創生などありえない」

これらの指摘を、自らの戒めととらえて、頑張っていこうと決意しています。なお、本ページの写真には、地方自治を学ぶ際に感銘を受けた何冊かの書籍も一緒に写しています。関心のある方はぜひお読みくださいね。(#^.^#)

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