私の大好きな本の数々をつれづれに紹介します。

「鬼滅の刃」 吾峠呼世晴

2025年8月30日

「己の弱さや不甲斐なさに、どれだけ打ちのめされようと、心を燃やせ。歯を喰いしばって前を向け。君が足を止めて蹲っても、時間の流れは止まってくれない。共に寄り添って哀しんではくれない」(煉獄否寿郎)
「永遠というのは人の想いだ。人の想いこそが永遠であり、不滅なんだよ」(産屋敷輝哉)
「もうだめだ、と思った瞬間こそが、道を踏み外さないように踏ん張る時です。困難な状況や苦しい境遇に負けないで欲しい」(作者)

・・・・・・これらは、超人気漫画「鬼滅の刃」で語られるセリフと作者のコメントです。こうした珠玉の言葉がいっぱい詰まった漫画が本作です。なんという不屈の精神でしょう。なんと深い哲学でしょう。

劇場版アニメ「無限列車編」公開を前にサブスクで「立志編」を一気見し、その後の「遊郭編」「刀鍛冶編」「柱稽古編」をリアル視聴した私は、大げさではなく、心の底から「生きてきてこんな凄いアニメに巡り合えて幸せ!!」と叫びたい気持ちです。

2025年7月に公開され、興行収入記録更新間違いなしと言われる最新作「無限城編」第1部を、参院選を終え、念願叶って鑑賞したのですが、なかなか予約が取れず、家族で別々の席になってしまったほど。満席の館内からすすり泣きが聞こえる感動のひとときでした。(公開後数日はポップコーンもドリンクも売り切れだったという信じられないエピソードも報じられていましたね!)

あまりの感激に震え、たくさんの友人知人に熱烈に語りまくったところ、ある人から原作全23巻をお借りすることができ、「無限城編」の第2部と第3部で描かれる空前絶後のクライマックスを、いち早く味わう幸運に恵まれました。短時間で2往復読みましたが、この日々は本当に幸せでした。マジで!

漫画全編を読破した今、結果が分かっていても、あるいは、分かっているからこそ、劇場で繰り返し鑑賞したいという熱い思いが、沸々とこみ上げてきます。日本が誇るアニメのすばらしさを、言葉や文化の壁を越えて誰もが実感できると、多くの方が確信することでしょう。それくらい偉大な作品なのです。

ネタばれ厳禁なので、「ホノメカシ」程度にとどめますが、この壮大なスケールのドラマに圧倒されて読み進めると、すべての伏線(主人公の耳飾りやアザ、ヒロインが生き残った謎など)が猛烈な奔流となって、あれよあれよと回収される痛快さに痺れます。そして、大どんでん返しや心和むエピローグなど、大河小説のような完成度は、「レ・ミゼラブル」や「風と共に去りぬ」に匹敵するといっても過言ではありません。

「ホンマかいな?」と疑念を持つ人は、ぜひ原作をお読みください。あるいは、サブスクでアニメを一気見してください。歴史に残る名作に触れた歓びを実感することでしょう。お勧めです!

 

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