「生成AIの核心」西田宗千佳
ちょうど1年前の2022年11月、アメリカのOpenAIという企業が開発したChatGPTがAIを大きく加速させました。このChatGPTと言うツールは、文章を入力すると、その内容や命令に合わせてクオリティの高い文章を生成すると言う、これまでのAIの常識を大きく変えるものであり、まさに「人工知能」と呼ぶにふさわしい段階に入ったと言えるのではないかと思います。
本書は、AIの最先端を行くジャーナリストがChatGPTに代表される「生成AI」をわかりやすく解説しています。AIの普及が、これからの人間の社会にどのような影響を与えるのか、様々な角度から具体的に分かりやすい言葉で解説をしてくれている「入門書」と言っても過言ではないと思います。おすすめです。
さて、京都市は20年以上にわたる財政危機を克服するため「行財政改革計画」を策定し、徹底した財政構造の強化に着手しています。幸いにも令和4年度は、多くの市民の皆様のご協力によって、過去最高の税収増に加え、行政のスリム化が大きく前進し、単年度黒字を達成することができました。
しかし、これからが正念場です。痛みを伴う改革であり、丁寧に誠実に、説明責任を果たし、状況に応じた見直しや改善を積み重ねることが大事ではないでしょうか。私たち公明党は、行財政改革と都市の成長戦略は車の両輪であり、これからの京都市の発展には、この両立が不可欠であると確信し、様々な議論を展開しています。
優秀でクリエイティブな起業家を支援するイノベーションの波を起こし、デジタル創造都市を具体的に推進する中でこそ、文化と経済を融合した新たな価値を創造するダイナミックで魅力ある都市へと前進していくことは間違いありません。
私は、9月に市内のスタートアップ拠点で開催された「ChatGPT実践セミナー」を受講しました。そこに参加されていた民間企業の方のうち、実に8割が既に生生AIに挑戦中と答えておられて大変に驚きました。そこで学んだのは、AIは人間の仕事を奪うのではなく、人間が新たな価値を創造していくためのツールであるということでした。
AIを始めとするデジタル化については、心理的な警戒感や反発があるのはやむを得ないと思います。しかし、かつて算盤から電卓にとって代わったように、また、インターネットが世界をつないだように、AIは時代を画する大きな可能性があると思います。
かつて、SFなどでセンセーショナルに描かれたこともあって、AIが人間を支配するのではないかとの懸念がありますが、大切なのは人間の叡智だと思います。パスカルが喝破したように人間は「考える」ことができます。様々な思索を重ね、試行錯誤を繰り返する中、クリエイティブなものを生み出すときに、それを補助するツールがAIであると、本書を読む中で改めて確信することができました。
私は、令和5年度、総務消防委員会に所属し、デジタル化や職員力向上の施策などについて、様々に提言を重ねています。京都市役所も、従来の規制概念にとらわれるのではなく、全く新しい発想で若い職員の斬新な意見を積極的に取り入れることによって、デジタルネイティブ世代の活躍が大きなエネルギーになると確信します。この取り組みが軌道に乗って初めて改革が前に進むのではないでしょうか。私自身も青春時代に戻って1からやり直す思いで、原点回帰で頑張っていこうと思います。
なお、同じ日に宝島新書「ChatGPTは神か悪魔か」(写真左)という書籍も購入しました。こちらは、落合陽一や野口悠紀雄、和田秀樹、池田清彦などといった著名なオピニオンリーダーが、ビジネスや教育、医療、芸術などに及ぼす影響を徹底的に検証する内容です。さきの入門編を読んだ後なので、刺激的なタイトルに惑わされずに、じっくりと思索できるかなぁと思っています。