吉田たかお演説集

2012年9月議会 一般会計決算賛成討論

平成24年(2012年)10月26日 京都市会本会議場

※平成23年度京都市一般会計決算を認定するにあたり、公明党市会議員団を代表して討論演説を行いました。人口減少時代に突入し、若々しい息吹にあふれた創造性ある政策の実現が求められているとの問題意識に立って、京都市活性化を論じました。
 

【政策の連続性】
 公明党京都市会議員団は、報第3号「平成23年度京都市一般会計歳入歳出決算」について認定するとの態度を表明しておりますので、会派を代表して、さわやかに討論を行います。

 23年度は、「京都未来まちづくりプラン」の最終年度に当たり、プランを総括する決算でもあります。

 本市は、平成19年度決算で373億円という過去最大、政令指定都市唯一の赤字を出しましたが、市民協働の汗を流し、懸命の努力を重ねた結果、一般会計の実質収支については平成20年度30億円であった赤字を22年度決算で克服し、23年度においても黒字を維持できたことから、普通会計においても14億円の黒字となったことについては評価をするところでございます。

 しかしながら、この結果は「特別の財源対策」を実施したことによる黒字であるため、更なる行財政改革が必要であることは論を待ちません。

 したがって、平成24年度からは、未来への可能性に富んだ魅力ある都市経営の創造的施策と財政構造改革を一体的に進めるために策定された「はばたけ未来へ京プラン」のもと、長期ビジョンに立った本市の成長戦略を断行するとともに、切れ目なき行財政改革をより一層進めることが重要であると申し上げるものであります。

 同時に、人口減少時代に突入した今、若々しい息吹にあふれた具体的な政策を生み出す創造性が求められています。

 その視点に立ち、1つ1つの政策課題について、決算審査できめ細かく検証し、次年度の予算のあり方に連動していかなければならないと確信するものです。決算報告のあり方については、市民に分かりやすいものとなるよう、一層の改善を求めます。

以下、平成23年度決算を受け、主要な施策について今後の課題を指摘し、要望を申し上げます。
 

【第1分科会を受けて】
 まず、防災については、昨年の防災対策総点検を受けて策定された「京都市地域防災計画」に基づき、現場の特性を重視した防災訓練のあり方や避難所運営マニュアルの策定も含め、総合的かつ実践的に推進していくべきであります。

 次に、有料指定ゴミ袋制度について申し上げます。市民に一定の負担をお願いするゴミ袋有料化財源については、財源活用のあり方の精査や、市民に対する十分な周知が重要であり、今まで以上のきめ細かな取組みを求めます。

 観光および国際交流については、近年の日中関係の悪化により、京都を訪れるアジア系の観光客が激減しております。この傾向が今後とも続くことが十分に予測されますので、偏りのないグローバルな外国人観光客誘致の充実を要望いたします。

 組織及び人事改革についても申し上げる点がございます。東日本大震災復興支援の意味を含め、平成18年度以降凍結していた技能労務職の採用を再開されました。しかしながら、解除する方向に至った説明責任が十分になされていないままに、職員の世代構成の適正化を理由に再開した感が否めません。

 公明党市会議員団は、平成18年の不祥事根絶のための抜本改革大綱が策定されてより、真剣に議論を重ねてまいりましたが、今後は不祥事根絶を目的としてスタートした大綱の総括と検証をした上で、人材活性化プランと連動させ、組織改革と人事改革を進めていくことが重要であると指摘いたします。
 

【第2分科会を受けて】
 続いて「市民のいのちと暮らし、安心・安全を支える施策」に関して申し述べます。23年度は保育所16箇所、395人分を整備されましたが、待機児童問題の十分な解消には至りませんでした。補正予算で対応されたことは評価しますが、今後、本年8月に成立した「子ども子育て支援法」に基づき、安定的な子育てシステムを構築されるよう要望いたします。

 また、初妊婦等に対する訪問相談事業や第2児童福祉センターの整備など、子育て支援の充実とともに、特別養護老人ホームの整備など、介護基盤の充実についても評価するものです。

 いじめ根絶に向けた取り組みについては、スクールカウンセラーの拡充や、スクールソーシャルワーカーの配置、第三者機関の積極活用など、様々な機会に指摘しましたが、いじめ根絶のために、効果的なアンケート調査の実施や、生命の尊厳を学ぶ「いのちの教育」を充実強化するなど、あらゆる対策を最優先で実施していただきたい。

 また、京都市に約8,000人以上おられると推定される「ひきこもり」の方々やご家族への支援については、長期にわたる深刻な課題を解決していくためにも、国で推進している「ひきこもり地域支援センター」を本市にも設置すべきであると申し上げます。

 さらに、京都市における自殺者が5年連続300人以上を超え続けています。近年若年層の自殺者が上昇傾向にあることも看過できません。相談窓口体制の充実強化とゲートキーパー研修を市民へ拡大して、自殺者防止に取り組んでいただきたい。

 生活保護制度については、対象世帯が増え続けている状況のなかで、より丁寧な制度の説明、困窮されている方に寄りそった生活指導、そして適切な自立支援を行っていくよう、合わせてお願い致します。

 「地域包括支援センター運営委託事業」については、本年度よりお一人暮らしの高齢者の全戸訪問をはじめとする、包括的支援事業を適切に実施することから、各センターに1名ずつ加配をされました。また、介護予防支援についても担当件数の上限を引き下げましたが、余り守られていない状況も心配されています。再委託・アウトソーシングをする取り組みの検討や各行政区の福祉事務所の体制強化を望むものでございます。

 続いて防災・減災対策に関して申し述べます。都市基盤整備においては、「いのちを守る橋りょう健全化プログラム」を策定しての事業着手は、市民に分かりやすく、「見える化」の視点からも高く評価します。また、幹線道路及び生活道路の維持管理についてのアセットマネジメント手法を導入しての取組みも評価しますが、速やかに実態把握を徹底し、更なる進捗を図るよう求めます。

 「歩くまち京都」のビジョンを掲げてから10年が経ちます。歩行者優先のまちづくりを実効力あらしめるためにも、シンボルプロジェクトだけでなく、都心部以外のいわゆる周辺地域の生活道路も重視し、実態調査を実施したうえで、具体的な「歩道整備計画」を策定するべきであります。

 また、河川整備については「京都市河川整備方針」を策定しての京都らしい川づくり、水辺づくりの取り組みを評価します。そのうえで、ゲリラ豪雨の発生頻度も高まる中、都市型水害対策を強化しなくてはなりません。

 以上、具体的課題について申し上げました。
 

【お互いが尊重し合う麗しいまちづくり】
 京都市が、お年よりも体の不自由な方も子どもたちも若者も、お互いが尊重しあい、励ましあう、麗しい自助・共助・公助が整った街として発展していくため、災害時に要援護者として位置づけられる方々に対して、日常から、暖かなまなざしを注いでいく市民一体の施策展開を進めるべきであります。

 私たちは、街かどで子どもたちの歓声が響くような子育て先進都市を目指し、高齢化時代を切り開く希望あるまちづくりのため、これからも全力で頑張っていくとの決意を申し上げ、討論といたします。

 ご静聴ありがとうございました。

(京都が魅力ある街として発展していくために、重要な観点を具体的に指摘し、問題提起しました。追求や糾弾ではなく、共に汗を流す前向きな姿勢で、これからも頑張ってまいります)


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