吉田たかお演説集

2011年5月議会 補正予算賛成討論

平成23年(2011年)5月30日 京都市会本会議場

※東日本大震災への支援を中心に、300億円を超える異例の補正予算を審議。市長の予算案を議会が全会一致で修正提案するという画期的な採決の場で、会派を代表して賛成を表明する演説をおこないました。
 

【復興のための補正予算】
 公明党京都市会議員団は、議第84号、87号、95号の修正案、ならびに議第86号に対し、賛成するとの態度を表明しておりますので、会派を代表して討論を行います。

 今回の補正予算には、東北・関東の被災地への支援と被災者の方々の受け入れや雇用対策をはじめとする総合的な東日本大震災復興支援と、京都市の経済対策および防災対策の総点検など、緊急を要する事業が盛り込まれました。

 震災後3ヶ月になろうとする今なお、甚大な被害からの復旧・復興の途上にある被災地の深刻な実情を思うと、補正予算による対応は当然であると評価するものです。
 

【中小企業対策を重視】
 私たちが賛成する理由は、大きく4つあります。

 1つは、京都経済への支援の中で、特に中小企業対策を重視した予算を計上したことです。

 4月に行われた「東日本大震災に伴う京都企業への影響等に関する官民合同調査」で、実に9割を超える企業が今後の影響を懸念していると表明し、行政に対して融資による運転資金確保や販路開拓を求める声が多いという結果が出ていました。

 今回の補正で新規融資枠を拡大したことは、まさにこのような切実な声に応えるものであり、迅速かつ弾力的な運用を要望するものです。

 被災地や被災者の経済復興支援として提案された「被災企業支援サポーター事業」や、被災地と連携した「京の七夕復興支援事業」、「被災地仮設住宅用丸太供給促進事業」と、京都経済活性化策である「京都産業育成コンソーシアム連携強化事業」や「観光庁との緊急協働プロジェクト」などは、いずれも重要な施策であり、実効力あるものとなるよう求めます。
 

【被災者受け入れと防災総点検】
 2つには、きめ細かな被災地支援を迅速に取り組むなかで、被災者受け入れ支援について「情報発信」「心のケア」「住宅」という必要不可欠な課題を明確にし、その対策が講じられていることです。

 日々刻々と変化する現場のニーズを的確に把握し、効果的な支援策を迅速に打っていくことが重要です。今後のいっそうの充実を求めると同時に、想像を絶する惨状の中で献身的に活躍された派遣職員に対しても、そのご苦労をねぎらい、きめ細かな心のケアをお願いしたいと存じます。

 そして3つめは、京都市防災対策の総点検を進めるに当たって、原発への対策を含めた専門部会と、具体的な防災問題をソフト・ハードの両面から話し合う3つの検討部会が設置され、8月と12月の2回に分けて、広く市民に検討状況を公開するとの方針が出されたことです。

 危機意識を共有する市民の思いを重く受け止め、透明性とスピード感ある情報発信をお願いしたい。震災直後から今に至るまで「想定外」という言葉が繰り返され、私たち国民を嘆かせました。この「想定外」という言葉は他人事ではありません。私たちの愛する京都市を守るための計画に他山の石として反映させなければならないと、強く訴えるものです。
 

【がん対策の推進】
 4つめは、東日本大震災対策以外の一般会計として、「民間病院がん治療施設整備」に対して無利子で融資を実施する予算6億円が計上されたことであります。

 そもそも、この事業は、平成21年12月に洛和会音羽病院から京都市に対して、ふるさと融資を受けたいとの申し出がありましたが、平成22年度の国の事業仕分けによって廃止とされていたため、当初予算に組み込まれなかったのですが、その後23年度以降の事業継続が決まり、補正予算として計上できたものです。

 このふるさと融資は、私ども公明党が強く推進してまいりました「がん対策」に深く寄与するものであり、さらに整備を進めることによって、京都市民が等しく身近な地域において高度ながん治療をうけることができる医療体制が整うことは強く念願してきたところであり、評価するものです。
 

【予算修正案を全会一致で提出】
 最後に、重要と思われる点を、いくつか指摘させていただきます。

 今回、喫緊の課題についての補正予算の財源として、市長は公債償還基金から2億6千万円を取り崩すという決断をくだされました。財政上「禁じ手」といわれている公債償還基金を取り崩してまで編成した補正予算であります。

 速やかな執行を求めるものでありますが、被災地に十分な貢献ができるかどうか、費用対効果の検証をするとともに、予算編成の過程を市民にわかりやすい形で公開する必要があると考えます。

 同時に、国に対して、人件費や特別交付金の基準を明確にした上での、国費での補填を強く要望するべきであると指摘するものです。

 私たち議会は、復興への支援と併せて、京都市の財政難に対応していくべく、基金取り崩し額を減額するため、議員報酬1割削減と費用弁償廃止によって生じた1億300万円を活用する予算修正案を、全会一致で提出しました。

 これからも、市民のためとの思いを共有し、清新かつクリエィティブな議論を展開して、京都市活性化に貢献するとの決意を改めて申し上げ、補正予算の賛成討論とさせていただきます。ご静聴ありがとうございました。

(全会一致で可決成立。改選後最初の議会が、転換期にある日本の再生への扉を開ける意義深いものとなったと確信します)


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