吉田たかお演説集

2010年9月議会 京都市自転車安心安全条例提案説明

平成22年(2010年)9月15日 京都市会本会議場

※地方分権の重要性が叫ばれる中、京都市会の活性化を目指して、議員提案政策条例(地方議会の議員立法)を半年がかりで推進。「京都市自転車安心安全条例」を提出し、9月議会の開会本会議に登壇しました。
 

【自転車マナー向上を求める声】
 今議会におきまして、公明党京都市会議員団12名は、議員提案政策条例といたしまして、「京都市自転車安心安全条例案」を提案させていただいております。私は、議員団を代表し、提案理由を申し述べさせていただきます。

 公明党京都市会議員団は、昨年から今年にかけて総点検運動を展開し、介護問題・子育て支援・商店街振興の政策課題について、現場の生の声をお聞きしてまいりました。

 そうしたなか、多くの市民の皆さんから、「歩道や商店街を猛スピードで走る自転車が怖いです」などといった「自転車マナー向上」を求める切実な声が寄せられました。

 警察庁によりますと、自転車が人をはねるなどして加害者側となる人身事故件数は昨年7,000件を超え、10年前と比べると5倍以上に急増しているとのことです。

 また、交通事故における自転車の事故率が増加する中で、死亡率はこの10年で3倍になっております。京都府の自転車事故のうち約7割が京都市内で発生しており、昨年は中学生と高齢者の衝突事故でお1人が亡くなりました。私の周囲にも、歩道を走る自転車に追突され、障がい者になった方がおられます。これは、他人事ではありません。

 自動車には任意保険や強制保険がありますが、自転車の損害賠償保険については、ほとんど知られていません。1年ごとに更新するTSマークという制度があるものの、その加入率はわずか1%。歩くまち・京都憲章が制定され、観光客向けにレンタサイクルが普及している京都市にとって、自転車保険が普及していないということは、大きな問題ではないでしょうか。

 私たち議員団は、アーケードを設置しておられる市内23ヶ所の商店会理事長さんへの聞き取り調査を実施したほか、あらゆる世代の自転車利用者さんにアンケート活動を展開。短期間でありましたが300名を越える方から回答を頂戴しました。

 また、自転車小売業者さんやレンタサイクル業者さんをはじめ、多くの方々のご意見をお聞きし、一方通行の狭い道路や細街路が多く、住宅密集地や商店街などで高齢者や主婦、学生さんたちが共に生活している、京都市独特の地域特性を分析して、事故の防止とマナー向上へのきめ細かな施策をまとめました。

 それが、今回提案した「京都市自転車安心安全条例」でございます。
 

【条例制定の目的】
 この条例で目指す目的は、大きく3つございます。

 1つは、自転車の安全利用をすすめ、市民とりわけ子どもたちや高齢者のいのちを守ること。

 2つには、安心安全のまちづくりに貢献すること。

 そして3つめは、「歩くまち・京都」憲章推進に寄与し、観光客のもてなしをいっそう向上していくことです。

 そのために、条例を提案するに当たって、次の点に留意しました。

 1つは、市民ぐるみの重要性を自覚し、市・市民・自転車利用者・自転車関係事業者等の責務と役割を明確にしたことでございます。

 2つは、市民目線を重視し、商店街を利用される方や商店街の皆さん、自転車関係の事業者の皆さんからお聞きした具体的な声を反映しました。

 そして3つめは、多くの方々に理解していただけるよう、難解な法律用語を極力減らして、箇条書きをたくさん使用したということです。
 

【府条例から一歩踏み込んだ内容】
 さて、京都府で平成19年に制定された「自転車安全利用促進条例」があるのに、なぜ市として新たに自転車の条例を提案するのか、という疑問をお持ちの方もおられると存じますので、その理由を申し上げます。

 1つは、京都府は広域であり、府下の他都市の事情をカバーしていますので、先にご紹介した京都市独特の地域特性を反映した条例が必要であるということです。

 2つは、自転車損害保険を重視し、市の責務を明記したうえで、自転車関係の事業者にレンタル業を加え、保険の説明と加入勧奨の努力義務をお願いしています。

 3つは、新たに商店街の自転車安全利用促進の取り組みを明記しました。これは、商店会の皆さん方からも評価を頂戴しています。

 4つめは、自転車交通安全教育を強化したことです。市内の市立学校で教育課程に組み込む義務を明確に定めたほか、市内の事業者に従業員への自転車安全利用の啓発をお願いしたこと、就学前児童の保護者への啓発を加えたことなど、府の条例から一歩踏み込んだ内容となっております。

 したがいまして、京都市として、自転車の安心安全を目的とする条例を制定することは、大きな意味があると申し上げるものでございます。
 

【市民の声を反映したクリエイティブな条例へ】
 この概要と骨子案を、7月30日から8月30日までの1ヶ月間、議員団のホームページに掲載するとともに、市役所の議員団室や各行政区の議員事務所に設置するなど、広報に力を入れたところ、33名もの市民の皆さん方が、62件ものパブリックコメントを寄せて下さいました。

 心より感謝申し上げるとともに、頂戴したご意見を条例に反映させていただき、市民目線の条例を目指して作成し、本日この場に提出させていただいた次第です。

 今、官僚主導の中央集権の限界を乗り越え、地方分権・地域主権を確立しなければならないと言う声が盛んになっています。

 私たち公明党京都市会議員団は、市政への監視やチェックをしていくことも当然のことながら、それと同時に、もっとクリエイティブに、積極的に、具体的な政策を立案していくべきであるとの問題意識に立ち、地方議会における議員立法である「議員提案政策条例」に挑戦いたしました。

 同僚議員の皆さんにおかれましては、提案の意義と趣旨をご理解いただき、前向きな議論とご賛同をいただきますよう、心よりお願い申し上げまして、提案理由の説明とさせていただきます。ありがとうございました。
 

(演説の模様はテレビニュースや新聞等でも報道されました。参考として、「京都市自転車安心安全条例 PDF(102K)」と「議案説明資料 PDF(107K)」を添付します。ご参照ください)


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