平成20年(2008年)12月16日 京都市会本会議場
※補欠選挙の結果により、京都市会で民主・共産が自民・公明と同数になり、国政の混乱が市会に持ち込まれてきました。定額給付金に反対する意見書に、会派を代表し断固として反対を表明。場内を圧する獅子吼は大きな反響を呼びました。
【はじめに】
公明党京都市会議員団の吉田孝雄でございます。このたび、民主・都みらい及び日本共産党市会議員団から提案された「定額給付金の見直しに関する意見書」には、到底賛成できません。
心ある議員諸兄の、本当のご意見はどうなのでしょうか。私は、市民の代表である皆さんの良識を信じ、反対討論を行います。
【定額給付金批判は筋違い】
この意見書のタイトルは「見直し」とあるので、建設的な見直し案を提起してこられるのかと思ったら、あにはからんや、内容はネガティブな「批判のための批判」が繰り返されており、挙句の果てに「外す」という主張になっています。
文面には、給付時期のメドが立っていないとか、漏れの可能性があるとか、あるいは自治体に負担があるとか、いくつかの課題が列記されています。
私は、大いに議論して結構だと思います。前向きに具体的に細部を協議するべきであります。しかしながら、それが直ちに「外す」理由にはなりません。外すという結論は、それが、市民生活に大きな悪影響をもたらす場合において出されるべきものであり、この程度の奥歯に挟まったような主張は、まったく説得力がないと言わざるを得ないのであります。
この定額給付金に対して、その目的が生活支援なのか経済対策なのかハッキリしないという批判があります。しかし、どちらかをハッキリせよと言う方がおかしいのであって、物価高の中で所得の上がらない庶民の生活を支援することも大事であり、それとともに、消費を喚起し下支えする経済対策も重要です。この2つを目指すことは当然ではないでしょうか。あるシンクタンクは、GDPを0.3%から0.4%アップさせると試算しており、この制度のもたらす景気への効果は大きいのであります。
また、世界ではここ2年の傾向として、フランスやオランダ、イギリス、カナダ、アメリカそして韓国などで、「給付をつけた減税」が実施されたり、これから実施されようとしています。今は給付方式の減税が世界の景気対策の趨勢になっているのです。
【反対のための反対は庶民感覚の欠如】
何よりも、これほど議論が沸騰し、多くの方々に浸透したこの制度が、今さら外されるとしたら、給付を楽しみにしておられる市民の皆さんは、果たして納得されるでしょうか。高齢者の皆さんや子育てに奮闘中のお母さんたち、苦しい家計の中をやりくりしておられる庶民の皆さんは、多くが給付を心待ちにしておられるのです。
バラマキとか経済効果はないと非難する方は、厳しい経済状況への危機感も、庶民感覚も、いずれも欠如していると、はっきりと申し上げるものであります。
もうひとつ申し上げますと、意見書に「自治体の負担が大きい」とありますが、この意見はまったく理解できません。
行政は市民生活のためにあるのであり、市民生活を支援するためにおこなう事業に対して、「手間がかかる」とか「負担がある」というような泣き言は通用しない。そのことを市長はじめ理事者は当たり前のように理解しており、だからこそ決算委員会でも、市長は潔く前向きな答弁をしただけでなく、他都市に先駆けて人事を発令したのではありませんか。
12月3日に行われた横浜市議会の一般質問でも、中田市長は「法案が通り制度が決まって、われわれが制度を遂行する場面になれば、効果的なものにしていく必要がある」と答弁しています。ご承知の通り、この市長は、かつて民主党所属の衆議院議員であった方であります。
いずれにしても、他都市での議論と比べますと、この意見書で言われているような、「負担があるから反対である」という理屈は通用するはずはありません。まさにこれは、逆立ちの理屈に過ぎない、反対のための反対であると申し上げるものであります。
【自語相違の野党】
12月4日付けの京都新聞には、日本共産党幹部の「党の筋を通して反対するか、市民の不利益を避けるか、難しい問題だ」というコメントが載っていました。定額給付金に反対すると「市民の不利益」になると認めている言葉であります。まさに「党の方針は市民の利益に反する」と告白していると受け止めざるを得ないのであります。
また、同じ記事で民主・都みらい幹部は「制度に反対の意見書を検討中だが、国会で成立すれば賛成せざるを得ない」と述べておられます。これは、自ら出した意見書を反故にするような、自語相違の発言ではないでしょうか。
いずれにしても、国会で関連予算が成立した後に予定される2月度京都市会における各会派の主張、そして議決を、市民の皆さんは注目しておられます。
政治家の言葉は重いです。潔く、このような矛盾した党利党略にまみれた意見書は撤回すべきであります。
以上、反対の理由を申し上げました。このような後ろ向きの意見書を、歴史と伝統ある京都市会の意見として国に提出することは、まったくもって恥ずかしいと強く申し上げ、議員諸兄の良識に期待して、討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。
(起立採決の結果、議長が投票しないため、1票差で定額給付金反対意見書が可決。市民に不安が広がりました。しかし、徹底した論戦を挑んだ結果、2月議会での審議では、定額給付金支給予算が全会一致で成立し、給付は正式に実現。雪辱を果たしました)