京都市会を分かりやすく皆様にお伝えします。

決算委員会市長総括質疑

2007年12月5日

 現在行われている普通決算特別委員会のメインイベント、市長に直接質問する市長総括質疑が、朝から夜までの長丁場で開催。私は21人中、20人目に登壇しました。

下記に質問の原稿を再録し、合わせて答弁の概要もまとめて報告いたします。長いですが、2日間ほぼ徹夜で書いた涙と汗の結晶です。お読みくだされば幸せです。
(感想をメールで寄せてくださったら、最高に幸せです!)

【吉田質問】
 桝本市長、3期12年間のご奮闘、お疲れ様でした。公明党の本日最後の質問を、奇しくも北野中学の後輩である私がさせていただくこととなりました。桝本市政を受け継ぎ、より発展させていくとの決意を込めて、何点かお聞きしたいと存じます。

 まず、市民に迅速かつ的確な情報を提供する広報戦略のあり方について質問いたします。市民参加のために情報公開に力を入れた桝本市政の集大成として、このたび京都市公式HPを全面的にリニューアルされました。今年おこなわれた、ある調査で、京都市HPが全国の自治体で第3位にランクされたという発表がありました。関係各位の努力が報われたものであり、誇りに思うとともに、嬉しさで一杯です。

 私自身、21年間コンピュータソフトの営業マンとして、ITの最前線で仕事をしてまいりました。ビジネスの世界では、名刺交換したその日のうちに、相手の会社のHPを確認することは常識となっています。自治体でも同じです。学生だけでなく若いサラリーマンや主婦の方の多くが、わが町の顔としてHPを注目しています。最新の情報発信のために広報戦略をますます充実させていくべきであると訴えたいと存じます。

 そこで、問題提起したいのは、他都市のHPで見られる「目安箱」的なページを、本市でも力を入れるべきではないかということです。
「市長への手紙」という欄がありますが、残念ながら一方通行でして、要望や提言を打ち込んでも、それへの回答が公開されていません。HPの特性から考えても、自分が発信した公共の課題を自分ひとりだけに回答されるのではなく、より広く公開されるほうが望ましいと考えておられる方も多いのではないかと思うのです。個人情報との絡みもあるかもしれませんが、書き込む際に「公開しても良い」という意思確認を入れておけば、クリアできるのではないでしょうか。
「市民参加」「情報の双方向化」という観点から、必要と思われる提言に対する回答を公開するなど、「市長への手紙」の機能を充実強化されてはいかがでしょうか。ご見解をお聞きいたします。

【桝本市長答弁】
従来は直接返事を送っており、代表的なものには「市民しんぶん」で公開してきた。情報公開・市民参加の観点から大変に建設的な提言なので、個人情報の問題にも注意しつつ、実現に向けて前向きに検討したい。

【吉田質問】
 私自身、足で稼ぐ、いわゆる「フィールドワーク」を重視しています。11月も、京都会館・芸術センター・美術館・歴史資料館・考古資料館・マンガミュージアムを訪れて、文化芸術振興のために、現場の空気を吸って勉強させていただきました。「箱物」が無用の長物となっている実態が指摘されていますが、私はその一番の答えは「ソフト」に力を入れることしかないと実感しています。
 その一環として、これらの施設で顕著になっている老朽化の対策についてもしっかりと取り組んでいかなければならないのではないかと思います。具体的にはバリアフリーの段階的取り組みと、トイレの改修です。これらの計画はどのようにお考えでしょうか。

【星川副市長答弁】
文化芸術振興の見地から前向きに取り組んできた。京都会館再整備計画も進行中。各施設のバリアフリー等の提言を重く受け止め、計画をたててまいりたい。

【吉田質問】
 もうひとつの「ソフト」は、京都が誇る歴史や文化の遺産を宣揚しているこれらの各施設のオリジナルHPです。これについても、中身の充実を今以上に力を入れるべきではないでしょうか。
 せっかく魅力的な「特別講座」「シンポジウム」が開催されているのですが、終了すればそれっきりになっており、もったいないと思います。開催中に配布する資料を作成されているのですから、それを期間中に鑑賞できなかった市民のために、終了後にデジタル化してHPにアップすることは、技術的には不可能ではありません。
 京都の魅力を発信し、若い世代へのPRと、観光客を拡大する戦略の両方から見ても、これら文化資源のHPでの発信事業は、大きな可能性を持っていると確信します。京都活性化のため、長期的視野に立って、前向きなご検討をお願いします。いかがでしょうか。

【星川副市長答弁】
各施設のHPは職員の努力で徐々に改善されているが、「デジタル化」という重要な着眼点を大いに参考にして、いっそうの充実を図ってまいりたい。

【吉田質問】
 次に、深刻化するいじめの問題についてお聞きします。以前から、メール依存症・ネット依存症が指摘され、インターネットや携帯電話を使う子どもたちの心の闇が懸念されていました。特に今年になってから「学校裏サイト」「ネットいじめ」という今までにないタイプのいじめが深刻化しており、匿名を隠れ蓑にした誹謗中傷やわいせつ画像が入り乱れているのですが、本市においてもいくつかの教育現場から実例も報告されており、本格的な対策を多角的に講じるべきであると考えます。

 さきほども昼休みにインターネットをみていると、朝日新聞のWeb版に情報が配信されてきました。アメリカでも「ネットいじめ」が問題となっていると政府機関が発表したというのです。英国では、今年の予算に多額の金額を計上してこの問題の抜本的対策に乗り出しています。
 本市でも、11月14日に京都アスニーで開催されたセミナーに、会場からあふれるくらいの保護者の皆さんがつめかけ、関心の大きさを再認識いたしました。

 様々な書物を読み、先駆的な教育者に取材するなど、いろいろと研究したうえで、今必要だと思うのは、まず国レベルでの法規制であります。次に重要なのが、子どもへの「ネットエチケット教育」いわゆる「情報モラル教育」のカリキュラム充実、そして保護者の啓発であります。保護者や教員を含め、まだまだ危機意識が少ない大人が多すぎます。京都の宝である子ども達のため、「ネットいじめ」への徹底した取り組みをぜひお願いしたい。教育長出身であり、子どもたちの未来を誰よりも真剣に考えておられる桝本市長に、全国をリードするネットいじめ対策を早急に取り組んでいただきたいと思います。いかがでしょうか。

【上原副市長答弁】
保護者啓発に努めるとともに、現場の声を重視し、生徒のアンケートを踏まえた具体的取組みを進めている。関係機関と情報交換して総体的取り組みを真剣に進めてまいりたい。

【吉田質問】
 18年度に大きく前進した学校内のネットワーク構築、いわゆるLAN整備ですが、現在は8割を越える現場で活用されているとお聞きしました。私は、次のステップとして、生きた情報を生かすためのデータベース化と、セキュリティーの対策に力を入れるべきと訴えたいと思います。
 優れた学習カリキュラムが京都市総合教育センターに保管され研鑽できますが、これをデジタル化して、わざわざ行かなくても学校や自宅で検索できるようにするデータベース事業を第一歩としていくことにより、将来的には、さきほど取り上げた情報モラル教育の成功事例とか、モンスターペアレンツといわれている理不尽な親から「いちゃもん」をつけられた場合の具体的な対応の事例といった貴重な情報をその場で呼び出すとこができる、という可能性も大きく拡大すると思います。この、データベースによる情報の共有化は、喫緊の課題であると思いますがいかがでしょうか。ご見解をお聞かせください。

 このようなIT強化事業は、セキュリティーにも大きな効果を発揮します。今の教員の方々は、自分のノートパソコンを学校に持参してデータを打ち込んでいるケースが多いと聞きますし、メモリースティックでデータをやり取りしておられると思います。

 しかしそれでは、紛失したりウィルス感染したりして、個人情報が流出する危険から免れません。不幸にも紛失事故が発生したら、意欲も実力もある人材を処分せざるをえないケースも出てくるかもしれません。このような事件・事故が起こって人的損失が余儀なくされるようなことを防ぐためにも、大型スーパーコンピュータをメインサーバにして、各教員の机に端末を設置する「サーバ・クライアント」を完備していく計画を真剣に取り組むべきではないでしょうか。お金はかかるかと思いますが、教員の自宅にもネットワークをつなげば、端末が故障してもデータは消えませんし、何よりも個人情報流失や紛失も起こりません。長期的視野に立った「サーバ・クライアント整備」について、どのようにお考えでしょうか。お聞かせください。

【上原副市長答弁】
セキュリティーについて大切な問題を提起していただいた。データの暗号化や内部に残さない機能構築について、真剣に取り組んでまいりたい。

※残念ながら時間がなく、マンガミュージアムと源氏物語千年紀事業のタイアップについては、7日の文教委員会での一般質問に回しました。


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