京都市会を分かりやすく皆様にお伝えします。

2007年8月度文教委員会 他都市調査

2007年8月21日

 8月21日から3日間の日程で、札幌市・横浜市・東京都千代田区に出張し、文教委員会所属の全議員とともに調査活動に従事しました。

 初日は、札幌市役所で配偶者暴力相談センターについてヒヤリング。深刻な問題に対して先進的に取り組んでいる実情を知りました。センター開設以降の相談件数実態は落ち着きつつあるとのことですが、深夜の時間帯での対応等の具体的な課題に対して、継続的なはばひろい徹底調査が必要と感じました。その後、円山動物園の運営について現地調査へ。いま話題の旭山動物園(旭川市)に行きたかったのですが、すでに何度も視察済みとのことで同じ政令市の札幌の動物園になったとのこと。市民参加型の運営を軌道に乗せており、「ソフト重視路線」が徐々に効果が出てきているとうかがい、心から賛同しました。一番印象に残ったのが、面積が広く風通しが良いためなのか、“臭くない”ことでした!――大事なことですよね。

 2日目は、空路横浜へ。横浜市庁舎にて教育・文化行政の斬新な取り組みについて説明を受け、活発な意見を交換しました。まず、小中一貫教育の導入および学校運営の地域参画について、教員のスキルアップ充実の試み、学科担任制の活用、地域ボランティアの防犯活動や部活コーチ制、地域に根差した土曜学校授業についてなどの興味深い実例が紹介されました。私は、小学校で導入されている英語教育のための外国人講師の採用実態についてと「横浜型習熟度別指導」「横浜の時間」というユニークな工夫について質問しました。地域の特色を生かしたアイデアで子どもたちの創造性を刺激しつつ、民間活力を有効に活用しているとのこと。土曜学校や部活の地域ぐるみの支援等も京都で応用できるのではと意見を述べました。

 また、文化・スポーツ施設のネーミングライツについて、横浜競技場が日産スタジアムに改称した経緯をとおして、膨大な維持・管理費を民間企業の広告事業でまかなう取組みの有効性を学びました。何万人も収容するようなものでない小規模施設でも需要と供給が一致すれば十分可能と、発想の転換ができました。賛否両論あるかと思いますが、興味深い事例と思います。

 最終日は、午前中は横浜市の野毛山動物園を視察。公園敷地を有効活用して3か所に“分園”して各々が独自のカラーを出していて、来園者にはリピーターが多いとのこと。小学校の部活動ともタイアップしているなどの事例も参考になりました。視察者たちの人数に興奮したのか、チンパンジーが暴れて大きな音を出していたのですが、子どもたちの姿を見るとおとなしくなって、ほのぼのとした交歓をしていました。

 午後は、電車で都内に移動して、千代田区の路上喫煙防止に関する取り組みについて視察しました。皇居や永田町を擁する中心地であり、かつ秋葉原や神田といった観光客の多い町にも関わらず、全くと言ってよいくらい吸殻が落ちていません。長年の努力が結実している事実を目の当たりにできました。区役所に入る時、目立つデザインの宣伝カーも目撃。「マナーからルールへ。そしてマナーへ」というキャッチフレーズが印象的です。担当者の方から5年間の歴史に裏付けられた具体例を聞き、活発な意見交換が展開されました。視察に参加したすべての議員が次々と質問したのです。そこで明確になったのは、「徹底した住民参加の推進と定着」「他人任せにせず責任を共有する実務」「市民の声に敏感に反応して議論を重ねる姿勢」の3つでした。これらは、これから本格的施行に向けて準備する京都市においても、絶対に外してはならないあり方であると実感しました。今後の議論にとって大きなプラスとなる視察になったと確信しています。

 私も、「外国からの観光客とのトラブルは無いか」と質問しましたが、ゼスチャーで通じるので意外にも大きなトラブルはほとんど無いとのことでした。また、「喫煙所設置の声についての対応」について伺ったところ、微妙な問題であり結論は出ていないとのこと。智慧を出し合って協議を重ねる以外にないということですね。ただ、条例施行と同時に街角の灰皿は撤去したことや夜間パトロール等の人件費について、また逃げる人を無理追いはしないことなどといった、豊富な経験に裏打ちされた実体験を聞くことができたのも、大きな収穫になったと思います。

 今回の他都市調査は、世間で指弾されている“物見遊山”のような税金の無駄遣いとは全然違う、中身の濃いヘビーかつ有意義な出張であったのではないかと思います。この長いレポートを読んでいただいた読者の皆さんも、その一端を感じていただけたのではないかと思います。ただ、この経験を生かすことができるかどうか、それが一番大事だと言い聞かせて、頑張ってまいります。


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