京都文化祭典のイベント「京の華舞台」として開催された伝統の市民狂言会。今年は50周年の記念すべき節目ということで、瀬戸内寂聴さんを迎えての豪華で素晴らしい芸術が繰り広げられ、平日の18時開演にもかかわらず円山公園音楽堂に1,000人以上の観客が集い、大いに盛り上がりました。
当初は家内と2人で鑑賞する予定でしたが、急きょPTAの重要な会議が入ったため、実母と一緒にバスで開場へ。思わぬ親孝行となりましたが、文字通りの大満足・大感動で、寒さを吹き飛ばして母も喜んでいました。
瀬戸内寂聴さんは、85歳とは思えない若々しい溌剌とした声で、ユーモアたっぷりにスピーチされました。笑いがどれだけ人生を豊かにするか、美を愛し芸術を尊敬してきた京都の庶民文化がいかに凄いか・・・含蓄にあふれた言葉の芸術に啓発されました。笑いすぎて肋骨が折れたのに気づかず、全国を東奔西走しておられたとのこと。聴衆は笑うのも忘れて感嘆していました。「文化を大切にしない国は滅びます」――との言葉が心に残ります。
人間国宝・茂山千作氏も貫禄の舞を披露。さすがです! 狂言の演目をじかにを鑑賞するのは久しぶりでしたが、600年の歴史を感じさせない斬新さがおどろきでした。セリフは大げさでなのですが、分かりにくい事は全くなく、ユーモア感覚が実に新鮮。“むき出しの人間くささ”がストレートに伝わってきました。
時代や国籍を超えて人々の心に残る「本物」に触れた感動に浸った、まさに贅沢なひととき。豊かな人間文化創造の旗手を目指す京都の一員として、「日本に京都があって良かった」と言ってもらえるような文化芸術振興のお役に立っていきたいと、強く念願した次第です。