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2023年9月市会レポート

2023年10月10日

9月21日に京都市会本会議が開かれ、令和4年度決算や補正予算などの重要な議案の提案説明があり、10月30日までの1ヶ月を超える集中審議期間がスタートしました。

補正予算は、令和4年度の黒字分を活用して過去の負債を返済(35億円)すると共に、国の臨時交付金を活用した新型コロナ対策や物価高騰対策33億1,600万円を計上。福祉や子育て施設や学校の食材高騰への対応や観光問題(手ぶら観光推進やマナー啓発など)対策、市庁舎整備費の追加、中小企業や観光事業者および公共交通の「担い手」確保の支援などに加え、公明党が緊急要望で求めた商店街や伝統産業への支援が盛り込まれました。

22日に行われた予算委員会で、私は行財政局に次の3点を質疑しました。

令和4年度の黒字分を過去の負債の返済に充てた補正予算に対して批判があるが、禁じ手である公債償還基金取り崩しが500憶を超えており、今回黒字分から35億を返済することは、将来の健全な財政運営のためには不可欠。15年計画の長期にわたる財政再建に向け、1人でも多くの市民に理解して頂き協力して頂くため、市民生活に寄り添った施策推進を真摯に執行するべきである。
国の臨時交付金4億3千万を活用して、「物価高騰対策」「コロナ禍からの回復への対応」「中小企業成長支援」「観光の課題への対応」に充てた予算は評価できる。9月18日の議員団緊急要望で求めた項目も多く盛り込まれている。「担い手の確保」との角度は、中小企業にとって重要であり今後も充実してもらいたい。
市庁舎整備に2,700万円を追加する補正は、インフレスライドや資材高騰でやむを得ないが、甘えることなくシビアな査定を求める。ただし経費節減や納期短縮が優先されることで「安全性」が犠牲になってはならない。東京駅工事の事故などもあるので、絶対無事故の対策を求めたい。

25日の総務消防委員会では、一般質問で「AI活用」を取り上げ、総合企画局に質疑しました。

9月10日に「ChatGPT実践セミナー」を受講。参加した民間事業者の8割が生成AIに挑戦中で驚いた。AIは人間の仕事を奪うのではなく、新たな価値を創造するツールであり、社会発展の新たな地平を拓くとの認識に立って、京都市も積極的に着手するべきではないか。
心理的な警戒感や反発があるのはやむを得ないが、多くの事例(算盤→電卓、手紙→メール)にあるとおり、時代を画する大きな可能性があるので、段階を踏んだ検討が重要。まずは会議録ツールや自動翻訳機能から導入してはどうか。
若手職員が活躍する分野である。最先端の技術はデジタルネイティブ世代が日常で活用しているので、体制整備を進めるためにも組織風土の改革を総合企画局からスタートして頂きたい。

デジタル化戦略室長や局長から前向きな答弁があったので、これからも積極的に議論を重ねていこうと思います。

補正予算は29日の本会議で可決成立しました。その際、各会派の代表が討論を行ないましたが、公明党からは1期目のホープ、くまざわ真昭議員(左京区)が登壇しました。

くまざわ議員の討論原稿は、コチラをクリックしてお読みください、

迅速な執行が大事です。今後も的確な物価高騰対策やコロナ対策、そして京都市財政危機克服の施策を推進するために頑張ります。

10月2,3日は、本会議代表質問が行われ、公明党議員団は、3日の午後から湯浅光彦団長(右京区)、松田けい子議員(山科区)、増成竜治議員(伏見区)が登場し、市民目線の質疑を展開しました。

湯浅議員は、「物価高騰対策」「門川市長任期16年の総括」「成長戦略における外部人材との協働」「生物多様性保全」「福祉施策における重層的支援」について質問。大きな前進を勝ち取りました。

湯浅議員の質問原稿は、コチラをクリックしてお読みください。

松田議員は、「子育てニーズを踏まえた保育サービスの充実」「医療的ケア児の支援」「災害時における医療的ケア児の支援」「マンションの円滑な再生及び適正管理」「新たなモビリティに対応する環境整備」を取り上げ、画期的な議論を展開しました。

松田議員の質問原稿は、コチラをクリックしてお読みください。

増成議員は、「音楽に焦点を当てたまちづくり」「不登校対策」「地域公共交通計画の推進」「向島ニュータウンの活性化」「市営住宅における公園の魅力向上」について論じ、前向きな答弁を引き出しました。

増成議員の質問原稿は、コチラをクリックしてお読みください。

10月4日から決算委員会が始まりました。5日から3つの分科会に分かれた局別質疑が13日まで行われ、市長への総括質疑は19,20日。ヘビーな日程でしたが、市民の皆さんからお預かりした大切な税金の使い道をシビアに検証し、未来を拓くために、充実した議論が繰り広げられました。

私は総括質疑初日に、公明党のトップバッターとして登壇。「令和4年度決算総括」「行財政改革計画の進捗」「保育士待遇改善と体育館エアコン」「消防局決算総括」について質疑しました。

決算委員会総括質疑の原稿は「吉田たかおのよしダッシュブログ」にアップしましたので、コチラをクリックしてお読みください。

週明けの23日には各常任委員会に付託された議案に対する質疑が行われ、私は、総合企画局に「情報通信技術を活用した行政の推進に関する条例」を質しました。

条例制定を機に行政手続きのオンライン化(=電子申請)が本格化する。総合企画局が各局の司令塔の立場であり、国とのパイプでもあるので、フル稼働して頂きたい。
オンライン申請時に、手数料や使用料が必要な場合の「電子収納」システムの構築と活用が急務ではないか。国の標準システムが求められる。
処分通知(=申請への返答)もオンラインで可能とするが、市民の利便向上のため迅速化を重視するべきである。コロナ禍での教訓を生かしてほしい。
システムダウンの場合の被害が甚大となると懸念。防止策の徹底といざという時のリカバリーの最速化が今以上に重要となる。ハッカーの侵入へも同様であり、危機管理に注力する必要がある。

25日からは、決算や条例案など議案への態度を協議する議員会が27日まで続きました。公明党は令和4年度決算を認定すると決し、30日の最終本会議で賛成討論をかわしま優子議員(伏見区)が登壇しました。

決算について公明党が認定した理由と、重要政策への主張を盛り込んでいますので、討論原稿を紹介します。コチラをクリックしてお読みください。

30日の本会議では、決算を含め市長から提出された55議案すべてが賛成多数で可決・認定されました。議員提出議案は国に送る意見書が13本協議され、次の9本が採択されました。

(1) 「学校施設における体育館を含めた空調設備の整備についての財政支援を求める意見書」
(2) 「香料成分に起因する健康被害について対策の促進を求める意見書」
(3) 「ブラッドパッチ療法(硬膜外自家血注入療法)に対する適正な診療上の評価等を求める意見書」
(4) 「次元の異なる少子化対策としての就学支援金の所得制限の撤廃など保護者負担軽減を求める意見書」
(5) 「下水サーベイランス事業の実施を求める意見書」
(6) 「診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の物価高騰・賃金上昇への対応を求める意見書」
(7) 「コロナ禍からの回復期における公共交通の課題改善に向けた支援を求める意見書」
(8) 「公立学校教員の処遇改善に向けた給特法の抜本的改正を求める意見書」
(9) 「公立学校教員の処遇改善や教職員定数の改善など、学校運営体制の整備の充実に向けた諸制度の改革を求める意見書」

なお、上記の(8)と(9)は同じような内容ですが、維新提案の(8)に他会派が賛同した上で、自民公明共同提案の(9)にも全会派が賛同するという、極めて分かりずらい事態になりました。タイトルや文章も、各会派からの意見を反映して「微調整」が繰り返されました。会派政治のデリケートな一面があります。

上記9本の意見書は、京都市会HPに全文が掲載されています。コチラをクリックして閲覧してください。

一方で、維新が提出した「タクシーを含む公共交通の不便解消に向けた規制の緩和を求める意見書」と、共産党が提出した「核兵器禁止条約の実効性を高めるための主導的役割を果たすことを求める意見書」「インボイス制度の実施中止を求める意見書」「大阪・関西万博の中止を求める意見書」の計4本は賛同が得られず、不採択となりました。

長丁場の9月議会は終わりましたが、コロナ対策や物価高騰対策、行財政改革の取組はこれからが正念場です。来年度予算編成の重要な時期でもあります。子育て支援・デジタル化・高齢者支援など具体的な政策を前に進めるため、現場の声を聴き、研鑽に励んで、提言を積み重ねてまいります。頑張ります!