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2023年度委員会質疑(5月~9月)

2023年10月5日

2023年度、私は総務消防委員会に所属し、行財政局(財政や人事、防災危機管理などを所管)と総合企画局(デジタル化やプロジェクト、学生支援などを所管)および消防局に質疑しています。

また、特別委員会(予算委員会・決算委員会)では第1分科会に所属し、上記の3局にくわえて環境政策局(温暖化対策やごみ減量など)と保健福祉局(高齢者・障がい者支援や地域衛生など)に質疑することになりました。

10月から下半期に入りましたので、9月までの常任委員会と特別委員会で行なった質疑をダイジェストでレポートします。

まず5月18日は、急きょ提出された「補正予算」に対する質疑があり、第1分科会で下記の質疑を行いました。

【行財政局】

物価高騰で困窮されている方への支援について、子育て世帯は5月中だがそれ以外の低所得世帯は7月支給になる。速やかに対応して頂きたい。
システム開発をその都度予算化するのは、現況ではやむを得ないが、今後を見据えて、汎用性のあるシステムを構築するべきではないか。
コールセンターは過去につながりにくいともクレームが多かった。これらの経験を教訓にして、積み重ねたノウハウを生かしていくべきである。契約時に約款等で具体的に明記しなければならないのではないか。

【保健福祉局】

生活困窮者支援の中に「食料配布」がある。これを機に、生活保護申請者に保護がおりる前の待機期間中に配達するサービスも充実してはどうか。
民間団体に助成する際には、人件費と物品費のバランスが重要ではないか。現状を見据えた適正な価格設定をお願いしたい。
相談体制を強化することは大事。地域の偏りや内容のマッチングを検証して頂きたい。

翌日の5月19日に行われた総務消防委員会では、一般質問で3局に質疑しました。

【行財政局】

働き方改革の推進のためには「職員力向上」が不可欠。市民からも喜ばれる行政サービス向上と無駄を削減するためには、個々のレベルアップが重要である。信賞必罰を徹底すると共に、①幹部職員の力量向上、②若手の活躍、③ベテランの有効活用の観点を重視して頂きたい。

【消防局】

救急電話相談窓口「#7119」の今後の課題として、担当者の過重負担を考慮するべき。オンライン診療が普及する現状を踏まえ、スマホ画面を活用する最新技術を導入してはどうか。
自主防災組織の高齢化への対策、次世代への継承、緊急事態の即応体制などを検討する必要がある。

【総合企画局】

学生支援の公式アプリ「キョーデント」充実を求める。学生のニーズにマッチする情報を的確に発信するべき。今後は「起業」や「研究」についても重要ではないか。

6月5日の総務消防委員会では一般質問で、総合企画局に下記の課題を質しました。

【総合企画局】

国際化推進では、姉妹都市交流において「市民レベル」の交流として子どもや学生に焦点を当ててはどうか。
ウクライナ避難者受け入れの実態を検証し、今後の方向性をしっかりと定めて、市民レベルの拡大を求めたい。
デジタル化を進める中、若手職員の組織の壁を越えた「京都DXラボ」が大きな可能性がある。充実して頂きたい。
文化市民局が地方自治の最前線である「町内会」のデジタル化を支援しているが、総企局が司令塔となって、全庁体制でバックアップするべき。

6月19日の総務消防委員会では、一般質問で下記の質疑を行ないました。

【行財政局】

国で災害対策基本法がある。市でも個別の計画ではなく、トータルの「災害対策基本計画」を策定する必要がある。また、計画を策定し推進する主体の市と市民の事業所などの責務とルール化の基盤となる「基本条例」の策定を視野に入れるべきではないか。
現在準備中の「新税」は、固定資産税の実質的上乗せとなるが、「値上げ」「負担増」という感情に受け止められる可能性もあるので、この批判に対する説得力のある回答を提供すべき。空き家を売却可能な流通対象にするため、「片付け」「ゴミ廃棄」「改修」への補助制度を検討してはどうか。

【総合企画局】

オープンデータの活用が注目されているが、防災危機管理の観点が有効ではないか。市バス運行に関する大雨・土砂災害・交通事故など、地下鉄等の人身事故などの影響などで市民に最新情報を迅速に提供するなど、身近な活用事例を試行的に作り上げてはどうか。

7月4日の総務消防委員会では、3局に質問しました。

【総合企画局】

行政手続きのデジタル化について
警察の道路使用の許認可で電子申請によって1回で済むようになった。多忙な子育て世代が助かると思うので、京都市としても「保育園」や「子育て支援」の手続きから段階的に実施してはどうか。
国有地(刑務所・拘置所・運輸支局)の移転と跡地活用が、新聞報道もあって注目されている。市民の声を重く受け止め、国との協議を進めてもらいた  い。東部クリーンセンター跡地活用については、多目的グラウンドやアニメの聖地などに期待する声がある。PTAなど多世代の声を反映して頂きたい。

【行財政局】

市庁舎整備工事について
北庁舎工事の安全対策や防塵対策を重視して頂きたい。外部に仮住まいしていた部署の執務室が庁舎工事完成後に不足するとの批判がある。現状に即した実務的な改善を積み重ねていくべきと提言する。正庁の間に隣接する茶室(実際は茶室機能が付いた和室)への批判があるが、今後は海外の賓客の接遇で茶道を活用してはどうか。

【消防局】

自主防災会への支援について
各学区単位で自主防災会が主催する防災研修会が好評。過日も私が居住する桃山南学区で多くの人が参集された。市内各地の地域性を踏まえた切磋琢磨の発展を期待したい。
学区の防災訓練以外に夏祭りや運動会などのイベントにもタイアップするなど、地域事情に合わせた柔軟な啓発活動で地域の多世代に浸透してほしい。

7月18日の総務消防委員会では、一般質問で下記の質問を行ないました。

【行財政局】

市職員のメンタルヘルスについて
新型コロナで全国的にメンタルヘルス不調の職員が増えている中、本市でも若い世代で増加しており深刻。職員自身が自己分析しセルフチェックする事業の実証実験が令和3年に実施されたが、その成果はどうか。
休職した職員の「復帰」では、受け入れ態勢や所属長のリーダーシップが重要。メンタルヘルスの在り方の中で所属長へのカリキュラムを充実し、不調者への目配りやリハビリ中のフォローなどに力を入れていくべきではないか。

【総合企画局】

“みんなごと”のまちづくり推進事業
6年前より、様々な課題を市民と行政が協働する“みんなごと”と捉えてまちづくりを推進する事業がスタート。NPOや大学・企業・地域団体から提案されたアイデアが{お宝バンク}としてどのくらい登録されているのか。
市民力・地域力の具体的な取り組みであり、京都ならではの事業なので、幅広い市民に周知し、多くの方が「市民参加」して頂くよう、事業継続と充実を願いしたい。
都市の成長戦略について
令和2年度の公明党議員団は、「Society5.0」の視点からの成長戦略をとりまとめ、市長に具体策を提言した。本市の行財政改革計画にデジタル化や民間活力が盛り込まれており、大いに評価している。
京都の強みを生かした成長戦略として7つのリーディングチャレンジを設定されている中で、「デジタル化による経済圏創出」と「公民連携の企業誘致」のプロジェクトに注目している。取り組みを加速してもらいたい。
若者・子育て世代の定住促進のため「働く場」の創出が重要。7つのリーディングチャレンジを有機的に掛け合わせて勢いを出して頂きたい。京都ならではの取組である「京町家オフィス」「学術・文化交流ゾーン」の創出が大きな可能性があるので力を入れてほしい。

8月7日の総務消防委員会の一般質問では、新人の増成議員の出番を増やすため、1問のみの質疑にしました。

【総合企画局】

人口減少対策
京都市が「全国最悪の人口減少」との報道があったが、割合としては中位とのこと。マスコミに煽られることなく、重大な問題意識で着実に取り組んでいく必要がある。
子育て世帯の市外流出を防ぐため、学齢期前の子どもを育てる世帯を対象とした「住宅支援」として、ポイント付与や引っ越し代助成など“インセンティブ”を拡充するべきではないか。
デジタル化を促進し「電子申請」の構築や広報発信強化(YouTubeチャンネル充実など)および京乃つかさ等のイメージキャラクター活用など、若々しい発想で若い世代に響く施策を矢継ぎ早に推進していただきたい。

8月下旬は総務消防委員会で他都市調査があったため、一般質問は9月4日に行われ、前向きな答弁を引き出しました。

【行財政局】

災害時の避難所の在り方
激甚災害時の避難所は学校に設置され、被災者が体育館に寝泊まりするが、多くが冷たい床に雑魚寝をされ健康を害する懸念がある。段ボール型簡易ベッド導入を拡充して頂きたい。
海外では家族単位のパーテションや校庭にテントを張る手法が多く、参考になるのではないか。ホテルや他の自治体との協定は評価できる。多様性の時代を先取りする多様な取り組みが求められる。
被災者の心身を癒すうえで「温かな食事」は重要である。イタリアでは様々な業種のボラティアが志願して登録され、給与・交通費・保険が保証されており、調理師も活躍されている。長年に培ったノウハウや海外の事例を、今後の避難所の在り方に生かしてもらいたい。

【総合企画局】

自治体DX推進
8月の他都市調査で福岡市のDX戦略を学んだ。オンライン申請に力を入れ本人確認やクレジット決済など75%がオンライン完結とのこと。本市も参考になるのではないか。
将来の行政の在り方として、オンライン申請の定着に続く段階が重要。申請しなくても行政サービスを受けられる「プッシュ型」を本市として力を入れて頂きたい。
デジタル化にはオープンデータ活用が大きな推進力となるが、本市はソフト開発時のトラブルで立ち遅れている実態があるので、力を入れて迅速に対応する必要がある。同時に、ソフトの個別独自機能(カスタマイズ)はシステム改修時に大きな足かせとなる可能性がある。この2点を共通認識として徹底しておかないと、大きな禍根となると指摘したい。

なお、9月21日から決算を審査する集中審議がスタートしました。22日の補正予算審議や24日の一般質問のほか、10月から決算特別委員会が連日行われます。これらは、次回の「2023年9月市会レポート」で詳しくお伝えします。