京都市会を分かりやすく皆様にお伝えします。

2017年11月市会レポート

2017年12月8日

11月24日に本会議が開かれ、京都市会11月市会がスタートしました。12月8日までの短期決戦ですが、民泊対策強化などの補正予算案や焼却灰溶融施設訴訟の和解をはじめ、重要な議案が提出されています。真剣勝負の議論を重ねました。今回は長いレポートとなりますが、濃密な2週間の論戦をご報告します。

29日は本会議代表質問が行われ、各会派の代表が「自転車教育」「温暖化対策」「民泊対策」「上下水道局耐震化」「敬老乗車証」「美術館」などを取り上げ、門川市長に質問。なかでも、自転車の走行環境向上や安全教育を自民党議員が質したことは極めて大きな意味を持つと、前向きに受け止めています。これで大きな前進が名実ともに実現できるのですから。翌日の京都新聞にも大きく報道されていました。

共産党は「憲法9条」や「核禁止条約」など市政と直接かかわりのない主張を展開したり、「地方創生路線を転換せよ」という耳を疑う逆立ちの議論を述べるなど、つっこみどころ満載の質疑でした。あちこちからヤジが飛んでいたのも頷けるところです。

公明党からは、青野仁志議員(中京区)が「伝統産業活性化」「介護予防・認知症対策」「オリンピック・パラリンピック教育」について、国本友利議員(左京区)が、「大規模災害対策」「文化芸術」「プログラミング教育」を論じ、門川市長から前向きな答弁を勝ち取りました。

30日は、3つの分科会に分かれて補正予算案を審議。私の所属する第2分科会では、「民泊対策強化」として受付体制や監視指導を強化するため民間に委託する予算が議論されました。公明党を代表して西山信昌委員(下京区)が、役割分担したうえで行政の責任の所在を明確にするよう提言しました。子ども若者はぐくみ局や教育委員会に関する教職員の給与や児童館委託料改定の予算増額に対しても質疑がありました。

第1分科会では、大道義知議員(南区)が「焼却灰溶融施設プラント設備工事損害賠償などの請求訴訟の和解」の議案について質疑。今回の和解案は、京都市の主張が全面的に受け入れられ、損害金、弁護士費用等含め市民負担は一切ないものです。大道議員は、溶融施設の導入の妥当性、入札の適正性、進行管理の適正性、和解案の評価、当時案の教訓、今後の再活用等に関する基本方針等について質しました。

12月1日と4日は各常任委員会に付託された議案を中心に重要課題を質疑。私は1日に開催された教育福祉委員会に出席し、子ども若者はぐくみ局と教育委員会に対して質問に立ちました。

午前中の子ども若者はぐくみ局では、幼保連携型認定こども園の認定条例(幼保連携型認定こども園の編成・設置・運営の基準に関する条例を改正)が提出され、自民委員と共産委員から、配置基準などのついての確認の質疑がありました。板橋児童館などの指定管理者を定めた議案については、運営側の施設拡充への意欲がしぼまない配慮が必要との議論や、管理委託料が職員の賃金向上につなぐべきとの指摘がありました。

次に、局側から「京都市子ども・子育て支援事業計画」中間年の見直しにあたって「未来子どもはぐくみプラン」を改定する内容の説明があり、私は前回の委員会でも取り上げた「病児保育」を再び言及。下記に概要を紹介します。

(1) 病児保育については、働くお母さんからの切実な声が寄せられている。今回の改定で事業見直しを行わないとのことだが理由は何か。順調ということか。
(2) 配布資料に「キャンセル待ちが多い」との記載があることからもニーズは多い。これからも避けられない重要課題である。拡充するべきではないか。
(3) 現場の意見を最大限に尊重し、現実にどの手法が最善かを真剣に検討してもらいたい。これらの対応を着実に進めることが、保育士待遇改善にもつながるのではないか。

局側から、病児・病後児併設型を拡充し、1.5倍の受け入れ環境を整備するとの答弁がありました。期待して見守りたいと思います。この「未来子どもはぐくみプラン」は、私以外に4名の委員がお昼休みを挟んで熱心な質疑を展開しました。地域の実情に合った保育環境を整備していくための、きめ細かな計画を立てていることを高く評価しつつ、いっそうの充実を求める意見が多かったです。

一般質問は、自民委員と共産委員が「崇仁保育所」を議論。私は「保育の質の向上と保育士人材確保」を下記の通り論じました。

(1) 障害児保育については、半年かけて2回訪問調査を実施して認定するという現行制度は実情に合わないと保育現場から要望があった。国の政策をベースにするのはわかるが、京都市の実態に合わせた改善策を目にみえる形で検討するべき。
(2) 待遇改善の一環として打ち出された「キャリアパス制度」も同じで、副主任の方が主任よりも待遇が良くなるという逆説となる。60時間の研修もいかがなものか。現場の労苦を配慮した改定を進めるべき。
(3) 人員確保は喫緊の課題。求人に対して求職があまりにも少ない。京都の学校を卒業しても他県や他都市に就職してしまう。家賃借り上げ制度について書類作業が煩雑との声も聞いた。事務負担軽減を検討してはどうか。市営住宅優先入居という提案も1つのあり方ではないか。

キャリアパス制度等は今年度からはじめたケースであり試行錯誤の段階とのこと。現場の声を反映した改善が望まれます。子どもたちのため保護者のために奮闘する保育現場の実態を直視しなければ、より良い待遇改善は実現できません。パフォーマンスのように「待機児童対策」を叫ぶのではなく、具体的な施策推進が重要です。改めて決意を深めました。

教育委員会から提出された議案は、義務教育学校条例。中学校区ごとの地域状況に応じた一貫教育を志向する中、1人の校長のもとで1つの教職員組織を構築し小中9年間の義務教育を推進する学校を設置するもので、花背や岩倉などの中山間地域および東山区や下京区など町なかの人口減少地域などが先駆けてスタートするものです。

小中一貫で9年間を1つの学校で見ていく手法について、事務効率向上や国からの財政支援などの効果は大きいとの説明がありました。この条例案に対して7名の委員が質問に立ちましたが、私も手を上げ、4点の課題を示して問題提起しました。

(1) 学習面で、授業に追いつけない子のフォローや進路の格差への対応はどうか。
(2) 部活はどうなるのか。小学校の大会と中学校の大会の2チーム編成になるのか。グランドや体育館の割り振りで混乱はないか。
(3) 教員の負担増にならないか。小学校と中学校のシステムがまったく違う中で混乱しないのか。
(4) 通学路安全対策が停滞しないか。今後も義務教育学校設置が増えると、遠距離を歩いて通学する児童生徒が比例して増える。今まで以上のきめ細かな対策が大事ではないか。

いずれも、教育委員会からは「十分に検討して、今後の発展のために協議してまいりたい」との答弁がありました。特に、通学路問題では伏見区向島地域で国道や踏切を横断する生徒が倍増するわけですから、今後のお手本となるような成功事例としていただきたいと強く求めました。

今まで一貫教育を進捗してきたノウハウを生かして、本格的な義務教育学校制にあたって課題をクリアしていくべきです。「課題があるから撤回せよ」では何の進歩もありません。「課題があるからこそ、克服したら発展できる」との前向きな姿勢で邁進してほしいですよね。

最後の保健福祉局の質疑が始まったのが午後5時前でしたが、マスコミを含め4名の傍聴者が会議室に入って議論を見守るなど、熱気がむんむん。「民泊の適正な運営にかかわるルールに関するパブリックコメント」が議題だからです。この市民意見は、12月5日から1月12日まで募集されるもので、当日の京都市分朝刊の1面トップ記事となったことからも、注目度がうかがえます。

7人の委員が質疑に立ちました。「防火防災」「管理者常駐」「苦情への対応の体制」「騒音問題」「地域への情報開示」「分譲マンションの問題」「京町家の特例」「住居専用地域の限定認可」など、喧々諤々の議論が約3時間にわたって繰り広げられました。(京都市会の常任委員会は時間無制限なのです・・・・)

そんな中、西山副委員長は、ひと味違った綿密かつ実際的な質疑を展開。パブコメの配布を幅広く周知するべきと論じたうえで、「対面等の本人確認」「緊急時の体制整備」「ルールの見直しのあり方」などを論じ、「合法民泊」の要件が曖昧にならないようにと訴えました。加えて「仲介サイトへの働きかけ」を論じました。大多数を占める「違法民泊」がアンタッチャブルのままであってはなりません。国との綿密な連携を求めました。

最後の「長寿すこやかプラン中間報告」については、今月から来月にかけてパブリックコメントを募集するとのこと。西山副委員長を含む3人の委員が手を上げ、「介護保険制度のあり方」「地域包括ケアシステム」「地域共生のまちづくり」「介護予防」等の課題を議論しました。一般質問は「白血病ワクチン」が取り上げられました。委員会が終わったのが午後9時。クタクタですが、大事な政策課題への具体的な取り組みを真剣に協議したので、満足感も覚えました。頭は真っ白でしたけど。

常任委員会が終わった5日からは、各会派で議案への態度を協議する議員会が断続的に開かれました。補正予算については、「職員給与改定」「焼却灰溶融施設訴訟の和解に伴う経費」「大型汎用コンピュータ問題」「民泊対策の強化」という喫緊の課題である重要案件であるため、賛成理由と課題を述べる討論の原稿について時間をかけて練りこみ、協議の結果、私が最終本会議で登壇することとなりました。

※「平成29年度補正予算賛成討論(公明党)」のPDFは、コチラをクリック

6日と7日にかけて各会派の代表が調整した意見書、公明党提案の「性的少数者(LGBT)の人権尊重の観点から公的書類の性別欄の記載方法の見直しを求める意見書」は全会一致で採択されました。自民党提案の「パリ協定を踏まえた持続可能な社会の構築に向けた意見書」は京都党以外の賛成多数で採択。今回はスリムな本会議となり、11時20分に閉会しました。

※「性的少数者(LGBT)の人権尊重の観点から公的書類の性別欄の記載方法の見直しを求める意見書」のPDFは、コチラをクリック。

短期決戦の11月市会を終え、いよいよ2018年を迎えます。京都活性化の正念場に向けスケジュールが一杯。休む間もない多忙な年末年始となりますが、元気いっぱい頑張ります!! (^O^)/