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2017年9月市会・前半戦レポート

2017年10月7日

9月21日、京都市会9月市会がスタートしました。決算を審査する重要な議会ですが、時を同じくして中央政界が激震。衆議院が解散することとなり、短期決戦の選挙戦が実質的に始まりました。京都市会は各会派の協議により公示から投票日までの期間を休会することになりました。今回、前半戦のレポートを報告します。

21日の本会議で、平成28年度決算や補正予算案、宿泊税条例や京町家保存条例などが提出され、本会議場で門川市長から提案説明がありました。

さっそく翌日に行われた予算委員会で、3つの分科会に分かれて補正予算を審査し、私が所属する第2分科会で、①定期巡回随時対応型訪問介護看護事業所助成、②安井児童館移転整備、③修学援助費入学前支給の補正予算について質疑されました。特に③は5月市会代表質問で西山議員が提案したことで正式に決定したものです。

26日の討論決了を経て、27日の本会議の採決で補正予算が可決成立。補正予算は議員報酬削減分を財源に充てる修正案を議員側が提案したことも特筆すべき報告と実感します。また、宿泊税に関する議案は課題が多いとの声が各会派から相次いだため、継続審議となりました。

この日の午後からの議員研修では、京都大学こころの未来研究センター広井良典教授の「人口減少社会を希望に〜これからの日本社会とコミュニティー」とのテーマの講演を学びました。広井教授は、京都市の未来のためには、若者支援と出生率改善、歩行者中心のまちづくり等の政策展開が重要となると問題提起。講演終了後にも活発な質疑応答が交わされました。

28,29日の2日間で本会議代表質問が行われました。公明党市会議員団を代表して、曽我修議員(伏見区)、平山よしかず議員(西京区)、ひおき文章議員(北区)の3人が登壇。

トップバッターの曽我議員は「28年度決算及び成長戦略、財政構造改革の確実な推進」「自動車運転技術の活用」「成年後見制度の利用促進」「教職員の働き方改革」「住宅確保要配慮者への新たな住宅セーフティネット制度策」「救急相談センター#7119の早期開設」を訴え、平山議員は「ごみ減量対策」「介護ケアマネジメントの構築」「都市公園の民間活力」「新生児聴覚検査率の向上」を論じました。

ひおき議員は「世界自由都市宣言40周年の取組」「区長権限の強化」「区政評価制度の構築」「文化首都にふさわしい市バス地下鉄事業の取組」「食品ロス削減策」を取り上げるなど、3人の議員が京都活性化への提言を行い、門川市長ら市幹部から前向きな答弁がありました。

10月1日から3つの分科会に分かれて決算委員会がスタート。書類審査や報告聴取を経て、4日から局別質疑が始まりました。

初日の保健福祉局では17名の委員が質問に立ち、「国民健康保険」「動物愛護」「障がい者支援」「認知症対策」「生活保護」などについて質問がありました。喫緊の重要課題である「民泊問題」は各会派まんべんなく7名の委員が論じました。

私は公明党の二番手として登壇し「民泊問題」とともに「自殺対策」を取り上げました。予定していた「動物愛護問題」と「高齢者虐待問題」は時間切れでしたので常任委員会に回したいと思います。下記に質疑概要を報告します。

(1) 「民泊問題」は、法令遵守と地域住民との調和が大前提である。通報が約2千件、現地調査のべ2,143回実施し、300施設の営業を停止したとのこと。専用ネット「エアービーアンドビー」に掲載されている膨大な情報を精査し、突き止めるのは困難であることは理解できる。営業停止後に名義を変えて営業する悪質なケースへの対応も必要ではないか。積み重ねたノウハウを分析し今後の対策を図ってもらいたい。対応チームのテコ入れ等も検討する必要がある。
(2) 市民からの相談に対する適切な対応が今後も大事。ある人が窓口に通報したら、「民泊施設が建つ前に対応することは不可能。建ってからしか当たれない」と言われた。建築確認したものに「不可です」と言っても業者側は承服するのか。市民感覚では業者への対応は後手であると思える。都市計画局等と連動し、縦割りではない迅速かつ効果的な対応を進め、市民の声にこたえてもらいたい。
(3) 「自殺対策」は数値が減少するなど、様々な施策が実を結んでいると評価できる。自死遺族は精神面でも苦しむし周囲の目線にもさらされる。補償問題にも直面する。相談体制等のケアと融資等の補助が必要である。「生きづらさ」克服へのビジョン、「自殺は自己責任」という社会通念の転換。弱者切り捨てにならない社会構築への行政の施策展開を求めたい。

10月5日は、子ども若者はぐくみ局への質疑では、「子どもの貧困問題」「子ども医療費」「病児保育」「保育園」「青少年活動センター」などが取り上げられました。川嶋委員が取り上げた「京都版ブックスタート事業」は大きな期待が寄せられる政策と思います。西山委員は「保育所」問題解決と発展への可能性を堂々と論じました。

午後からの教育委員会では、「教員の働き方改革」「図書館運営」「交通安全教育」「通学路安全対策」「小中一貫教育」「スクールソーシャルワーカー」などの質疑があり、私もこれらを取り上げたかったのですが、時間の都合で常任委員会での質疑に回し、決算では下記の点に絞って論じました。

(1) 全国の自転車政策の関係者から「京都市の自転車教育は最も進んでいる」と評価されている。ぜひ今後の充実を求めたい。28年度、小学4年の安全教室は全小学校で実施したが中学では22校と30%以下である。安全ノートに約300万かけているが内容の改定は僅かである。「スケアードストレイト方式や「見てわかる教育」も建設局の予算である。市教委も力を合わせて中高生や大学生への教育を充実するべきではないか。建設局が事業化した「見てわかる教育」が好評である。今後は市教委が主体となって全校実施する必要がある。ぜひ検討してもらいたい。
(2) 子育て家庭支援の機運がある中、お母さんたちから「せめて体操服と上履きは自己負担しない制度を」との声が多い。就学援助対象の児童生徒への支援は充実しているが、それ以外の世帯でも教育費負担は大変。体操服等はPTAで呼びかけてリサイクルしている地域もある。せめて体操服と上履きだけでも全員実施となれば、子育て支援充実の実感が広がる。1人8,000円として1億円以内の予算で可能である。
(3) 現在、遠距離通学の生徒への交通費は、就学援助対象の生徒以外は、周山中や市原野中、加茂川中など16校338名に補助している。この距離基準6Kmを短縮できないか。桃山中学校区では桃山丘陵を歩かねばならない生徒には迂回する電車での通学が認められているが一部を除き自己負担。卒業生からも「自分たちの時代は無理でも後輩には配慮してあげて」という声が何人からも寄せられている。
(4) 公明党は5月に政策提言を政府に提出し、小中学校完全給食実施と給食費無償化を提起した。昨年度の集計で給食費無償自治体は61市町村。教科書無償化につづく給食無償化は少子高齢化時代の分かりやすい政策として市民に伝わり、他都市からの転入促進も可能。国の予算化と連動して、前向きに検討してもらいたい。

市教委側の答弁は「市の単独事業での実施は困難」という苦しいものでした。厳しい財政事情は認識しているので理解はできるのですが、「都市間競争」が激化している今こそ、前向きな検討が必要であると確信します。

衆院選における公明党の公約の1つに、「教育負担軽減」を高く掲げています。未来の希望があふれる社会の構築のためにも、国と地方が連動して子育て世帯への支援が不可欠。衆院選勝利を改めて強く決意しました。

10月6日は都市計画局と建設局への質疑でした。午前中の都市計画局は私が一番手で登壇。下記の点を質疑しました。

(1) 市長マニフェストで「子育て・若年層世帯への住宅支援」が提示され、少しずつ効果が出始めている。私自身、8年前の本会議代表質問で子育て世帯の市内への回帰を促進する方策の1つとして、「二世帯住宅改修助成制度」を提案した。現在の「京都府結婚育て応援住宅総合支援事業」と連動し、子育て世代が京都の魅力を感じる施策となるよう検討していただきたい。
(2) 公共交通優先の「歩くまち京都」施策として「バス待ち環境整備」も推進されているが、市バスに限らず、醍醐コミュバスや近鉄バス、京阪バスなど民間事業者への支援も重要である。病院前のバス停に椅子設置など声も寄せられている。必要なところから順次対応してもらいたい。
(3) 市営住宅の運営に尽力され敬意を表したい。そのうえで、市営住宅の共益費の徴収を自治会で務めているが高齢化が進み住民だけの運用維持が困難なところが増えている。仕組みづくりが大事と実感する。対策を検討してもらいたい。

財政当局との折衝が本格化する時期でもありますので、その追い風となれればとの思いで質疑しました。今後も引き続き議論していきたいと思います。

都市計画局に対しては、そのほか「土砂災害対策補助事業」「木造密集市街地対策」「住教育」「景観政策の進化」「祟仁地域再整備」「空き家対策」「市営住宅」問題などが議論されました。

午後からの建設局でも私が一番手。「自転車政策」に絞って質問しました。

(1) 自転車マナー向上事業や走行環境整備の取組が進展しているが、28年度の事業を検証し、今後の進展に活かしてもらいたい。保険加入など今後も重要な課題があるので、いっそう力を入れる必要がある。
(2) 自転車安全教育については、金沢市のNGOの方が京都の施策を高く評価されている。今後は高齢者への啓発にも着手してもらいたい。同時に、就学前の子供向けとその保護者への取組を重視。定期的に開催し市民に定着する常設の会場として大宮交通公園跡地利用が有望ではないか。京都ならではのサイクルセンターになるのではないか。

11月に愛媛県松山市で開催される全国的なイベント「自転車利用環境向上会議」で京都市が先進事例として紹介され、建設局が発表するとの情報も紹介しました。誇らしいですよね! 前向きな答弁も出ましたので、今後の進展に期待したいと思います。

建設局に対しては、そのほかの委員から「道路維持管理」「自転車保険加入促進」「自転車走行環境整備」「京都高速道路」「梅小路駅建設」「無電柱化」「JR奈良線複線化工事」「都市公園」「通学路安全対策」などが取り上げられました。

衆院選挙の影響で、10月10日から休会に入り、23日から議会が再開することが正式に発表されました。26,27日に決算委員会市長総括質疑が行われ、11月2日の本会議で議案の採決や意見書などが採択される予定です。

決算の認定や京町家条例や宿泊税条例の可否など、最終盤の議論については11月2日めどに「市会だより」の後半レポートとして報告する予定です。ご了承ください。