議会質問集

2度目の本会議代表質問

平成20年(2008)9月9日 京都市会本会議場

※1期目の第2回目の本会議代表質問。爽やか訪問や意見交換会などでお聞きした貴重な生の声を届けるとの思いで、懸命に調査し原稿にまとめました。27分の長い質問ですが、答弁も合わせて、ぜひお読みください。

≪質問≫

【はじめに】

 上京区選出(当時)の吉田孝雄でございます。公明党京都市会議員団を代表し、曽我議員に引き続き市政一般について質問いたします。

 私は、昨年4月に当選させていただいて以来、「さわやか訪問対話運動」と銘打って、公明党伝統の現場第一主義に徹して地域を歩き、多くの市民の皆様の生の声をひざ詰めでお聞きして参りました。

 本日は、その中で政策研究を深めてきた課題のうち、「まちなか戦略」「いじめ問題」「上京区の駐輪問題」など7点を、さわやかに質問させていただきます。門川市長並びに理事者におかれましては、どうか誠意ある御答弁をお願いいたします。

【歩いて楽しいまちなか戦略】

 まず、「歩いて楽しいまちなか戦略」についてお聞きします。今年度の人事の目玉の一つとして各局の部長が横断的に「歩くまち京都推進室」の仕事に取り組んでおり、縦割りの弊害を克服するものと期待されています。

 京都活性化のため、現在推進中の歩いて楽しいまちなか戦略は大変に重要な事業であると思います。この中でも、特に私は、市内への車両の流入を抑制しCO2削減にも貢献すると期待されている「パーク・アンド・ライド」を取り上げたいと思います。

 5月議会代表質疑で、我が党の津田早苗議員がG8期間中の通勤型パーク・アンド・ライドの実施を強く求め、マスコミでも大きく報道されました。公明党の提言が市民にとって重要であるとの何よりの証明であると確信するものです。

 観光地である上京区の方々の関心も高く、温暖化対策と渋滞対策、観光客へのおもてなしなど多くの意義を持つ事業であると期待の声をお聞きしています。現在の取組をより充実し前進させていくべきであります。

 そこでお尋ねいたします。観光型パーク・アンド・ライドの実施時期を現在の秋だけでなく、桜花爛漫(らんまん)の春やゴールデンウィークにも拡大すべきではないでしょうか。そのためにも多くの市民の皆さんに関心を持ってもらう必要があります。駅の大型広告や広報チラシ、インターネットなどを質量共に思い切って充実すべきではないでしょうか。近隣都市との連携を密にして、中部エリアや西日本各地へのPRも一層の力を入れるべきと考えます。いかがですか。

 また、周知拡大のためにはニュースバリューが大事です。今はパーク・アンド・ライド自体を知らないまま市内まで車で来られる方が多いのですが、マスコミでも注目されるような斬新な企画を立ち上げてニュースで取り上げられれば、車と電車・バスをセットにした観光の魅力を再認識する方も増えるのではないでしょうか。

 そこで提案します。利用者にとってメリットを感じる特典を工夫してはどうでしょう。例えば、提携している駐車場に止めて公共交通機関を利用したときは、京都ならではの体験ができる施設を紹介するような仕組みを構築することも1つですし、市内を走るすべての公共交通機関が利用できる一日周遊券を発行し、パーク・アンド・ライド利用者に提供することも関心を呼ぶのではないかと思います。いかがですか、市長の答弁を求めたいと存じます。

【携帯電話等のリサイクル】

 次に、環境問題についてお尋ねします。地域の皆さんと懇談するとき、必ずと言っていいほど出てくる話題がごみ減量やリサイクルの問題です。地球温暖化対策が叫ばれている今、循環型社会への関心が大きくなっていることをそのつど実感している次第です。

 京都市は、平成15年に策定された循環型社会推進計画「京のごみ戦略」を基軸として、ごみ袋有料化や分別の実施など着実に前進して参りました。この基本計画にも、リサイクルについては廃油・トレー・乾電池・スプレー・家電製品・パソコンなどきめ細かく紹介されているのですが、その中に携帯電話機器が入っていません。ある意味盲点になっています。

 携帯電話は、既に1億台普及していると言われ、ほとんどの大人が何度も買い換えていると思われるのですが、回収の仕組みが整っていないため、以前の機種を所有したまま放置しているか廃棄してしまっている状況です。

 携帯リサイクルを推進している「モバイルリサイクルネットワーク」などの調査によると、回収実績は2000年度の1,362万台から2007年度は644万台と半減しているとの実態が明らかになりました。しかしながら、携帯電話機器には、コバルト、リチウムやインジウムといった再利用可能な希少金属、いわゆるレアメタルや金、銀などの貴金属が多く含まれており、都市鉱山と言われるほどの資源の宝庫なのです。

 携帯を含めたIT機器のレアメタル埋蔵量は、金・銀・鉛・インジウムで世界一であり、金の6,800トンは南アフリカの天然埋蔵量6,000トンをはるかに上回り、インジウムに至っては全世界の61パーセントを占めているのです。これを再利用しなければ、正に「もったいない」の極みではないでしょうか。

 その思いで、現在公明党青年局が署名運動を展開し、多くの若者の賛同を得ているところであります。携帯機器の回収によって個人情報が流出するのではないかとの心配もあると思いますが、今の技術では買換えの段階で簡単に他のメディアに移行処理しておくこともできますし、携帯ショップでの消去作業でも漏えいの危険はないという事実も報告されています。まずは市民しんぶんなどのメディアを活用して、リサイクル促進の広報啓発を強化すべきであると申し上げたいのです。

 そこでお尋ねします。本市における携帯電話機器の回収についての現状と今後の対応について、どのような方針で臨まれるのでしょうか。携帯電話業界との連携や市民の皆さんへの広報啓発はどのように計画されているのか、具体的な答弁を求めます。

【ネットいじめ問題】

 次は、「ネットいじめ問題」についてであります。以前からインターネットや携帯電話を使う子供たちの心の闇が指摘されていますが、特にここ数年、閉鎖的なネット空間で繰り広げられる全く新しいタイプのいじめが深刻化しています。

 有名な掲示板サイト2ちゃんねるの子ども版と言える「学校裏サイト」では、小学校高学年から中高生の思春期の子どもたちがストレス発散やいやしを求めてインターネット上に秘密のたまり場を形成し、本音をぶつけたり情報を交換し合ったり、あるいはもう一人の自分を演じたりしています。しかし未熟さゆえの過激性から、次第にエスカレートして匿名を隠れみのにした誹謗中傷やデマ、わいせつ画像が入り乱れているのが実態です。

 とりわけ、特定の人を非難中傷する陰湿かつ卑劣で逃げ場のないネットいじめは、精神的ショックが大きく、大人が思っている以上に深刻であると言わざるを得ません。

 こうしたいじめによって不登校に追い込まれてしまう事件が京都でも表面化し問題となりましたが、実際にはもっと多くの懸案が水面下に潜在化しているのではないでしょうか。何しろ本年3月の文部科学省の調査では、学校裏サイトが実に3万8,000件以上もあることが判明しているのです。

 私は、上京区の子育て世代のお母さんたちと「コスモス懇談会」という意見交換会を重ねる中で、「何とかしてほしい」「早急な対策が必要ではないか」との声を頂戴したのを受け、実態把握と課題解決への調査活動を重ねながら、昨年6月から今年にかけて常任委員会や特別委員会等の質疑で計8回取り上げ、国の法整備や保護者への啓発、情報モラル教育の拡充を訴えて参りました。

 頼もしいことに、当時教育長であった門川市長のリーダーシップで、保護者・学校・地域・警察・携帯電話会社が一堂に会する連絡会議が設置され、具体的対策が講じられています。

 京都市会でも昨年12月、子どもたちの携帯電話利用に関する意見書を全会一致で採択し国に提出しました。また、人づくり21世紀委員会やPTA連絡協議会が中心になって、携帯電話に有害情報を入り込ませないフィルタリング機能を義務付ける法整備の充実を求める署名活動を推進され、国会にも提出されています。京都市が全国を牽引すると言っても過言ではないくらい大きなうねりが起こっている状況です。

 ただ、この問題に長年取り組んでおられる識者の方々は、「禁止し抑圧しても反感を買うだけである」「フィルタリングは有効ではあるが万能ではない」と警鐘を鳴らしておられます。

 市民しんぶん8月号に仏教大学の原教授も寄稿され、「大切なことは、インターネットが使い方を誤るといかに怖い事件につながっていくのか、ネットいじめがどれほど人を傷付けるのかを具体的にしっかり教えること」と論じておられます。私も全く同感であります。

 現在、学校現場で進めている情報モラル教育の方向性として、加害者にも被害者にもなるネットいじめの恐ろしさ、出会い系の危険性、メール依存症の弊害等の実態を赤裸々に伝えて具体的なリスクを痛感させていく必要があると考えます。

 それと同時に、子どもたちの孤独や不安を理解したうえで、一人一人の可能性に光を当てた人間教育を推し進めて、お互いを尊重し思いやり励まし合う勇気の尊さを触発させていくべきであります。

 情報モラル教育については、各学校で工夫され真摯に取り組んでおられるわけですが、現場の裁量に任せている状況では、裏サイトやプロフといった新しい事象への対応が後手に回ったり、学校間やクラス間で格差が出てしまうとの懸念がぬぐい去れません。現場の負担を軽減するためにも、充実したバックアップ体制を強化すべきであると思います。

 そこで質問します。ネットいじめ対策などの最新の成果を盛り込んだ情報モラル教育のカリキュラムを早急に策定すると同時に、教員への研修も質の充実を一層図っていくべきではないでしょうか。いかがですか。

 もう一つ重要なことは、現実に起こっている事案の的確な把握とスピード感ある問題解決であると考えます。本市では、6月26日より京都市ネットトラブル情報デスクを設置し、被害に遭われた子どもさんや御家族からの通報を受けて、情報化推進総合センターにつないで書き込みの削除をサイト管理者に依頼するという体制をスタートされました。

 また、京都府警ではネット上の犯罪等を監視するサイバーパトロール体制を強化されています。これらが軌道に乗ることを期待し見守って参りたいと思うのですが、いずれも被害者側からの届出がないと始まらない仕組みであります。親の気付かない所で苦しんでいる子どもの心の叫びをいち早く探し出して、積極的にかかわって解決していくような専門性の高い取組が必要ではないかと、正直心配しておりました。

 ところがこの度、国の主導で新しい取組が始まるとお聞きしたのです。子どもたちが携帯電話の落とし穴に落ちていかないように見守り、危機を回避していく最新システムを開発されたとのこと。本市としてもこの「危機回避予防システム」を積極的に検討し推進していくべきであると思いますが、いかがでしょうか。御見解をお聞かせ願います。

【映像アーカイブ】

 続いて「映像アーカイブ」についてお聞きします。今年は京都で本格的な劇映画が製作されて100年に当たるということで、10月にシンポジウムが開催され記念碑が建立される予定とお聞きしています。

 それは大いに歓迎し期待するものですが、私は過去の貴重な映像を保存し活用する「アーカイブ」という観点の重要性を提起したいと思います。

 建造物や美術作品だけでなく映像も文化財です。しっかりと保存収集して、その価値を後世に伝えていくべきであります。その問題意識で現状を調べたところ、映画作品や写真と比べて古いフィルムの収集、保護の動きは遅れており、自治体レベルでの保管も統一性がなくばらばらで、多くが劣悪な保存環境を余儀なくされていることが分かってきました。

 個人や企業で保管されている文化・芸能・風俗を伝える貴重な映像は、一部が研究機関や自治体に寄贈されているのですが、ほとんどがフィルム劣化への対策が不十分なままか、廃棄され続けているという状況です。

 京都市では、かつて産業観光局の主導で各大学や企業にアプローチしてデジタルアーカイブ事業を推進したのですが、平成18年にいったん終結しました。当時は産業振興の側面で映像のデジタル化促進に一定の成果があったと思いますが、最新の研究ではアーカイブのためにはデジタル化だけでは万能・永遠ではないことが分かっています。そこで、文化遺産保存の価値観に立脚した新しい本格的な映像アーカイブ事業を再度立ち上げる必要があるのではないかと思うのです。

 イギリスやアメリカの図書館では、書籍以外にも音や写真・映像の収集に力を入れています。7月に東京の国立近代美術館フィルムセンターを訪問し、学芸員の方々と懇談しました。アーカイブ事業を映画作品中心に進めておられる中、全国各地から様々な種類の映像が年々3,000本から5,000本も寄贈されているとのこと。事業の拠点を東京以外にも展開する重要性を痛感しました。

 その意味で、古い写真やフィルムを最新の設備で長期保存する収蔵施設を新たに建設する取組は、日本の映像文化発展に貢献するものであると申し上げたいのであります。

 長期プランとして、京都に映像アーカイブセンターを建設する計画を立ち上げてはいかがでしょう。他都市にも声を掛けて広域的運動に巻き込み、連携を密にして推進の主体者となって国を動かしてしていくというスケールの大きいビジョンの旗を振ってはどうかと申し上げたいのです。

 確かに簡単なものではありません。財政のうえからも時間を掛けて進めていくべき計画かと存じます。しかしながら、フィルム劣化や廃棄の危機への対策は喫緊の課題でもあります。机上で計画を進めるだけでなく、具体的な事業化を着実に進め、状況を見ながら拡充していくべきであると思うのです。

 そこで、市民の皆さんや専門家の方々に協力していただいて、「仮称映像119番」と銘打ち、貴重な映像を持っている方々に呼び掛けてフィルムを応急補修していく事業を開始してはいかがでしょうか。市長が提唱されている共に汗する「共汗」の精神にも通じると思います。映像アーカイブセンター建設への御見解と併せ答弁を求めます。

【動物愛護問題】

 次に、9月20日からの動物愛護週間にちなみ「動物愛護推進」についてお尋ねします。今、自分さえ良かったらいいというエゴや金もうけ最優先の拝金主義がまかり通り、生命の尊厳がないがしろにされる事件が多発しています。

 私は、動物愛護団体の方々と何度か懇談させていただいておりますが、皆さん異口同音に、ペットの扱いについて、まるでゲーム感覚でリセットするように動物の命を扱っているケースが後を絶たないと嘆いておられました。

 犬や猫を引き取ってもらいたいと家庭動物相談所に持ち込まれてくる件数が、年間2,000件以上もあると伺っています。ここ数年は関係各位の努力もあって、ほとんどの犬は新しい飼い主が引き取っていかれるとのことですが、猫の場合はかわいそうに大半が殺処分を余儀なくされているというではありませんか。命を慈しむ心の大切さを重視し、社会に潤いを取り戻すためにも、動物を愛し保護する事業は大きな意義を持つものと申し上げたいのであります。

 現在、ボランティアの方々が積極的に協力されて、犬猫の去勢及び避妊手術の活動が展開されています。殺処分の減少に貢献しているだけでなく、近隣への迷惑を事前に防止するこの取組に尽力されている関係者の皆さんに敬意を表する次第です。

 平成18年までは助成額が少なく、予算が年度の途中でなくなっていたので昨年度に増額されたのですが、それでもぎりぎりの状況にあるのが実態とのことです。そこで私は、避妊去勢手術制度を抜本的に再検討し、助成金の増額だけでなく獣医師や市民の方々がボランティアでされている活動に一定の支援を検討するなど制度を拡充すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

 現在南区にある家庭動物相談所は、昭和54年の施設であり老朽化が懸念されています。また、市南部に1箇所だけでは市民にとって活用しにくい状況にあると思います。同時に、動物を保護し治療を行う施設と同じ敷地に殺処分する場所があるという現状に対して、多くの方々から改善を望む声が上がっています。さらに、獣医師の先生方からは、深夜時間のペットの救急医療体制充実への御意見を頂いているとのことです。

 国の動物愛護法制定に呼応して、京都府で「動物愛護推進計画」が策定されることになっておりますが、本市でも独自の計画を市民協働で推進していくべきであります。現在、「京都市動物愛護行動計画」の準備が進んでいると伺っていますが、策定時期を含めた今後のスケジュールと基本方針について具体的にお聞かせください。

 あわせて、里親探しや動物と触れ合うなどの動物愛護事業の舞台である家庭動物相談所の再整備に着手し、夜間の救急受入れ可能な施設を拡充する計画を推進すべきではないでしょうか。市の遊休土地を活用するなどして、例えば市内北部地域でも施設拡充の必要性があると考えます。前向きな答弁を求めます。

【駐輪問題について】

 次に、上京区の「駐輪問題」についてお聞きします。区内唯一の駅である地下鉄今出川駅周辺の路上に大量の自転車が放置され、近隣の皆さんが困っておられます。車いすでの通行が困難ですし、歩道を走る自転車と歩行者との接触事故の危険が高く、大変心配です。災害時の緊急車両通行の支障にもなりかねません。御所に近い観光スポットでもあり、景観のうえからもこの地域での早急な対策が必要ではないでしょうか。

 私自身、平日と日曜日及び夏休みに入ってからの3回に分けて、時間帯別に現地調査したのですが、烏丸今出川交差点の店舗前には歩道にあふれるくらいの自転車が入れ替わり立ち替わり止まっており、その北側にある地下鉄出入り口付近は平日の朝から夕方まで、同じ自転車がひしめき合っていました。

 下宿生の多い学生街であり、買物や食事、アルバイトや通学等で自転車を利用する方が多いのはある意味当然であると思います。だからこそ、行政として的確な施策を迅速に進めていくべきであると訴えたいのです。

 私は、地下鉄を利用される方への抜本的対策として、この地に駐輪場を建設する必要があると申し上げたい。上京区の駐輪場は、左京区と接する出町駐車場1箇所しかありません。平成12年策定の「京都市自転車総合計画」に、駐輪場整備の必要がある駅として今出川駅が入っているのですが、残念ながらいまだに実現していないのです。

 一等地ということで、仮に土地を取得できても面積が少ないのではないかとの懸念もありますが、東京都江戸川区ではタワー式や地下式の立体駐輪場に自動操作で簡単に収納できる最新機種を導入されており、狭い面積で大量の自転車を収容できる工夫は不可能ではありません。

 排気ガスを出さない自転車を愛用されている市民の皆さんや若い方々のためにも、これらの手法を用いて、上京区に駐輪場を建設する計画を軌道に乗せるべきであります。同時に、交差点の駐輪対策としては、放置自転車撤去の強化と共に周辺店舗への更なる駐輪スペースを確保する施策を強化すべきと考えます。いかがですか御所見をお伺い致します。

【難病対策(要望)】

 最後に、「難病対策」について問題提起と要望をさせていただきます。先月、100万人に1人と言われる原因不明の病気「遠位型ミオパチー」の患者さんが舛添厚生労働大臣と面会し、早期の難病指定を要望されました。

 この病気は、心臓から遠い手足の先から筋肉が侵される進行性の難病です。20代から30代にかけて発症し、10年ほどで首から下の筋肉がなくなり寝たきりになってしまうという恐ろしい病気なのですが、最新の研究で治療法に光が見えてきつつあるとのこと。

 難病指定が実現すれば、国の研究体制が整って薬の開発が促進され、不安の中で闘病している患者さんの希望となります。しかしながら、財政事情により多くの種類の難病が順番待ちとなって停滞を余儀なくされているのです。

 テレビでも特集されたので御存じの方もおられると思いますが、患者会代表の中岡亜季さんは京都の方で、国際線の客室乗務員だったときに発症し、現在は車いす生活を余儀なくされています。しかし本年4月に患者会を立ち上げ、国に難病指定を求める全国規模の署名運動を展開。今日まで約20万筆を集め、要望書と共に提出されました。

 実は私の甥も、遠位型ではありませんが先天性のミオパチー患者です。中岡さんと何度かお会いしてお話をお聞きし、四条河原町の街頭署名にもボランティアで参加させていただきました。親身になって協力してくれる方が増えてきつつあるということですが、まだまだ病気の存在さえ知らない人が圧倒的に多いのが現実ではないでしょうか。

 公明党の粘り強い取組にこたえ、舛添大臣は今年度25億円であった難病対策費を来年度100億円に増額する考えを表明しました。これが一点突破となって大きな潮流になれば、この病気だけでなく難病と闘っている多くの患者さんの前に立ちはだかる厚い壁を乗り越えていく力になると確信するものであります。

 京都市においても、このような方々の思いを一人でも多くの市民の皆さんが知っていただけるよう、今まで以上の広報啓発を進めていくとともに、対策の強化を要望いたします。以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

≪答弁≫

【歩いて楽しいまちなか戦略】(門川市長)

 吉田孝雄議員の御質問にお答え致します。「パーク・アンド・ライド」についてでございます。京都市は、山紫水明の豊かな自然に恵まれ、市内に14箇所もの世界遺産をはじめ、有形無形の文化財が多数存在する1200年に及ぶ悠久の歴史にはぐくまれた「国際文化観光都市」であります。

 そして、平安京以来の趣きが今も息づく京都の道は、そもそも自動車が主役の道では決してございません。三山の自然、寺社仏閣の歴史、京町家の伝統や匠の技の伝統産業をはじめとした本物の京都の魅力に触れていただくためには、五感をフルに使っていただき、歩いて楽しんでいただきたいのが京都の道でございます。

 パーク・アンド・ライドは、都市部への自動車流入を抑制する有効な手段であり、京都のまちの特性に見合った交通対策であります。京都市がこれまでも近隣自治体、鉄道事業者や観光関連機関との連携のもと、観光案内の充実や観光一日乗車券をはじめとする公共交通の利用促進を図る取組を積極的に進めていくとともに、観光シーズンを中心にパーク・アンド・ライドを実施し、歩いて楽しむ観光の推進に努めて参りました。

 自動車から公共交通機関への転換を促すパーク・アンド・ライドを更に展開していくうえで、実施時期の拡大や取組の意義を観光客や市民の皆様に広く理解していただくこと、また、利用者にとってメリットを感じていただけるような工夫をすることが大変重要な観点であると認識いたしております。

 現在、京都市では初めての交通政策マスタープランである「歩くまち・京都総合交通戦略」の策定に向け、7月11日に審議会を立ち上げたところであり、利用者の視点に立った公共交通のネットワーク化の推進や大胆なマイカー抑制を市民ぐるみで進めるための公共交通優先のライフスタイルについて検討を進めております。

 今後とも京都の持つ地域力・文化力を結集した京都ならではのパーク・アンド・ライドシステムの構築に、関係者の御協力も得て取り組んで参ります。

【動物愛護問題】(門川市長)

 次に、京都市動物愛護行動計画についてでございます。近年、市民の皆様が心豊かで潤いのある生活を送るうえで、犬や猫などのペット動物は重要な存在となってきております。しかし一方では、動物への虐待行為や飼えなくなったペット動物の遺棄等が大きな社会問題になっております。

 こうした中、本市では小型犬や猫の飼育頭数が多いといった都市部での特性を踏まえ、動物の適正な飼い方や管理を通じて広く市民の皆様に動物愛護への理解を深めていただくため、仮称でございますが本市独自の「京都市動物愛護行動計画」を今年度中に策定して参ります。

 次に、ペット動物の夜間救急施設についてでございますが、京都市獣医師会が研究され、数年先をめどに夜間の救急医療施設を開設する構想を持っておられますことから、京都市獣医師会とも十分に協議しながら検討を進めて参ります。今後とも、市民の皆様や関係団体と共に汗しながら、命を慈しみ動物と共生できる社会の実現に向け積極的に取り組んで参ります。

【携帯電話リサイクル】(星川副市長)

 「携帯電話のリサイクル」についてでございます。吉田議員御指摘のとおり、携帯電話をはじめとする電気、電子機器にはコバルトに代表されますレアメタル等の有用な資源が多く含まれておりまして、その貴重な資源をできるだけ回収し循環使用していくことは、低炭素社会・循環型社会を構築していく観点から大変重要と認識しております。

お尋ねの本市の現状でありますが、全国的な傾向から推定いたしますと、市内の使用済み携帯電話は年間約24万台、そのうち5万台が販売店などで回収・リサイクルされ、17万台が家庭で保管され、1万台が家庭ごみとして廃棄されていると推定されます。

 御案内のように、使用済み携帯電話につきましては、既に生産者が製品の製造から廃棄まで責任を持ついわゆる拡大生産者責任に基づき、通信事業者やメーカーが協力して回収・リサイクルするシステムが構築されているところでございまして、今後ともこのシステムを活性化することが最も適切だと考えております。

 このため本市といたしましては、関連事業者に対しまして、購入者や市民がより簡単便利に回収できる、持込みできる仕組みづくりを促しますとともに、市民の皆さんに対しましては、市民しんぶんをはじめ様々な機会を通じまして、資源リサイクルの大切さ必要性を訴えますとともに、回収ルートや窓口の積極的な周知を図って参りたいと考えておるところでございます。

【駐輪問題(星川副市長)】

 次に、地下鉄今出川駅周辺の駐輪対策についてでございます。地下鉄今出川駅周辺の駐輪対策につきましては議員御指摘のとおりでございます。市民生活の安全の確保、景観対策の点から大変重要であると認識しているところでありますが、様々な課題がある中で、残念ながらハード面では十分な対策が取られていないのが現状でございます。

 そこでまず、公共駐輪場の整備についてでございますが、議員御案内の立体駐輪場につきましては、維持管理コストなどの課題はありますものの狭い敷地面積での設置が可能でありますことから、今後の駐輪場整備の際には有効な手法であると認識しているところでございます。

 ただ当該地付近につきましては、未利用地がほとんどない状況でございます。また、歩道におきましても地下部分には地下鉄の躯体をはじめとする埋設物がふくそうしている状況でございます。今後、駅周辺における土地所有者への働き掛けを行うなど実現の可能性を模索して参りたいと思っておりますけれども、あわせて路上駐輪場を含めましたその他の駐輪スペースの確保につきましても、早急に検討を進めて参りたいと考えております。

 また、周辺店舗等への駐輪スペースの確保に関しましては、できるだけ早期に店舗等の集客施設への駐輪場付置義務の拡大強化を図りまして御協力をお願いして参りたいと考えております。さらに、これらの取組と併せまして、引き続き地域の皆さんと協働しまして啓発いたしますとともに、更なる撤去の強化を図ることで放置自転車対策を進めて参りたいと考えております。

【映像アーカイブ(細見副市長)】

「映像アーカイブ」についてでありますが、吉田議員の御提案の趣旨はマーケティング出身の私としては、うれしく共鳴するところでございます。

 古い写真やフィルムは、その当時の文化や芸能・風俗を今に伝える貴重な財産でございまして、その保存や公開・収集・補修を進めていくことは、京都の優れた文化芸術を後世に伝えていく重要な取組であると認識しております。

 その認識から、本市におきましては歴史資料館において京都の歴史や文化の映像を保存公開しているほか、日本で最も古い湿板写真を平成14年に京都市有形文化財に指定し、さらに家庭や地域に埋もれているフィルムを市民の皆様に上映するイベントをNPO法人と協働して実施する取組を進めております。

 また、京都市内では京都文化博物館においてフィルムライブラリー事業として800本に近い映画フィルムや27万点を超える映像資料の収集保存を行い、さらに週4日の上映会の開催や貴重な映像のデジタル化や応急補修が既に実施されております。

 本市としては、今後とも京都府との二重の取組にならないよう心掛け、吉田議員御提案の映像アーカイブセンターの機能を実質的に果たすことができるよう、京都府や民間団体の取組と連携を更に深めまして進めて参りたいと考えております。

【動物避妊去勢】(浅野保健福祉局長)

 動物の避妊去勢手術制度につきましてお答え申し上げます。家庭動物相談所等で引き取っております犬や猫につきましては、年々減少してきているところでございますが、議員御指摘のとおり、いまだ年間2,000頭以上の飼い主に恵まれない犬や猫が持ち込まれている状況でございます。

 本市におきましては、京都市獣医師会と連携いたしまして昭和54年度から150万円の予算で飼い犬を対象とした避妊去勢手術費用の助成を開始しております。平成10年度からは対象動物を飼い猫にも拡大し、さらに、平成19年度には助成額を150万円から250万円に増額するなど、これまでから充実を図ってきたところでございます。

 現在、避妊去勢手術費用を助成する対象動物は、飼い犬や飼い猫に限定しておりますが,市民の方々がボランティアとして避妊去勢手術を行っておられるいわゆる野良猫への助成の拡大につきましても、京都市獣医師会及び京都市動物愛護推進協議会と協議して参りたいと考えております。

【情報モラル教育】(高桑教育長)

 「情報モラル教育」についてでございますが、本市では平成16年度に全国に先駆けて独自の「情報モラル指導計画」を作成し、子どもの実態と発達段階を踏まえた指導を各学校で実施してきており、本年5月には携帯利用の注意点等をまとめたリーフレットを小学校4年生以上の全児童生徒に配付し指導に活用するとともに、当該リーフレットにより保護者、市民への働き掛けを進めております。

 加えて、昨年度の子どもの携帯電話利用等の実態調査を踏まえ、新しい情報モラル教育のカリキュラムを今年度中に作成し、それを基に教員研修の更なる充実を図って参ります。

 さらに、子どもの携帯電話利用についての危険性等について、地域で啓発できる市民インストラクターの養成講座を8月に実施したほか、議員御指摘の子どものネット利用を見守り、危険な状態を発見した場合に関係機関と連携して対応する全国レベルの危機回避予防システムに、この秋の発足当初から参画して参ります。

 今後とも家庭・地域と連携して、有害なネット情報から子どもを守る社会環境づくりを推進し、高度情報化社会を生き抜く力を身に付けた子どもたちをはぐくんで参ります。

(うれしいことに、ネットいじめ対策の本格実施やパークアンドライド、駐輪場開設、動物愛護センター、リサイクルなど、すべての提案がその後に予算がついて事業化され、具体的に実現することができました!)