議会質問集

平成20年普通予算特別委員会・門川新市長への質疑

平成20年(2008年)5月30日 京都市会第2会議室

※平成20年度予算の質疑は、2月に市長選挙があったため、5月市会で骨格から肉付けをした本格的な予算案に対して、議論が展開されました。私は公明党を代表して、就任したばかりの門川新市長への質疑に臨みました。

【ニート対策】

◆吉田孝雄委員
 どうぞよろしくお願い致します。今回の予算は、一つ一つが門川市長の壮大かつ緻密なビジョンが反映した大変魅力的な内容であると思います。また、公明党が長年必要性を論じ、要求させていただいていた政策も多く取り入れており、期待感でいっぱいであります。

 私自身、京都活性化のため、市民の目線で研さんを深め、政策の提案を重ねて、市民の皆様のお役に立つように貢献をしていかなければならないとの決意を込めて、質問をさせていただきます。まずお聞きしたいのは、「地域若者サポーター制度」という大変大切な政策であります。

 現在、京都市で「ニート」と呼ばれる15歳から34歳までの無業の若者の方はおよそ5,300人いらっしゃるとお聞きをしました。ちょっとしたボタンの付け違いで、社会に適応できにくくなってしまっておられる若者、働きたくても働けない若者とその御家族を地域ぐるみできめ細かくサポートするというねらいがあるということで、大いに期待をしたい取組であります。

 京都は、ほかの都市がうらやむようなすばらしい地域コミュニティ、いわゆる町衆の伝統がございます。地域貢献に汗を流し、つらい思いをされている若者のために役に立とうという志を持っておられる方々にサポーターになっていただいて、千差万別の実態を的確に把握し、サポートステーションのカウンセラーとの橋渡しをしていただく。着実にこの方々の水かさを増して、4年間で350名のサポーターになっていただく、それを目指しておられるということで、そうなったら、5,000名を超える、雲をつかむような膨大な数の御家庭に対して、きめ細かなサポートが可能になるという風に思います。何としても成功させていかなければならないと心からお願いをしたいと思います。

 同時に、それと並行して現在進行中の地域若者サポートステーションの相談事業と、ライフマネジメントセミナー事業も、質・量ともの拡充が必要であると申し上げたいと思います。

 そこで、この事業について3点お聞きを致します。1点目は、サポーターを希望される方への周知徹底ですね。これは非常に不可欠であると思います。この幅広い広報啓発をどのように計画をされているのか、これをお聞きしたいと思います。

 2点目は、サポーター養成のための研修、これも大変大事であると思います。他都市の成功事例などの研究も含めたしっかりとした準備をしていただきたいと思っております。この点もどうなっているのか。

 3点目は、地域若者ステーションの相談事業とセミナーについてですけれども、カウンセラーの拡充や相談日の増設、またセミナーの開催回数や開催場所の拡充についてはどのような計画になっているのか、教えていただけますでしょうか。

◎細身吉郎副市長
 現在、ニートは62万人全国でいると言われており、京都では5,300人ぐらいと、大変深刻な問題だと思います。そこで、今委員御指摘のサポートシステム、サポーター制度をどのように広報していくのかが大事です。

 今、若者サポートステーションを開設していますが、相談件数が2,003人も上がっていまして、非常に効率が上がっています。そういう所を通しまして、今後の広報に一層努力して参りたいという風に思っています。

 それから、2番目の研修の問題でございますが、取りあえず50名規模で個人サポーター養成講座を開催しまして、団体や企業と共にサポーターとして登録するよう、計画中でおりますが、更に登録サポーターは、迎えに行くと言いますかね、探していこうというような、一歩踏み込んだ任務を負うような講習を致しております。

◎吉田委員
 ニートの方お一人お一人にあったきめ細かなサポートが期待できる事業であると思います。これが軌道に乗れば、35歳を超えても、まだ仕事ができておらない、大変深刻な方への支援においても,いい意味で波及をすることもできると思います。どうぞよろしくお願い致します。

【市長への手紙のHP公開】

◆吉田委員
 次にお聞きしたいのは、「広報広聴」についてです。市政への市民参加を一層促進するため、情報公開が不可欠であります。特に広報のみにとどまらず、広く市民の方の声を求める広聴を重視するべきであると思います。そうしないと、行政への不信をあおり立てる無責任な勢力に幻惑されてしまいかねません。

この広聴という視点は、2月議会代表質疑で,我が会派の大道議員が論じ、前向きな答弁をいただきました。

 市民の皆さんが、「行政は自分たちの意見を積極的に貪欲に求めてくれている」という手ごたえを感じていただけたら、今以上に市民参加の機運も盛り上がっていくのではないでしょうか。この問題意識から、私は京都市の公式ホームページをより一層充実させていくべきであると申し上げたいのです。

 前回の決算委員会のときにも申し上げて、「またか」という話になりますけれども、ただ、ホームページには「この日にこの場所に行かなあかん」という時間や場所の制限がないし、最近は若い世代だけではなくして、多くの高齢者の方も活用されている情報化時代必須のツールであると思います。この力を生かすべきであると思います。

 確かに昨年のリニューアルで、京都市ホームページはすばらしい内容に成長しつつあると思います。イベントカレンダーとか、洛ナビ、京まなびネットなど、斬新なページが多く、親切で見やすいという風にお聞きをしております。関係者の努力に敬意を表する次第です。

 ただ、日進月歩であり、「これでいい」と思ってしまったら、その時点で進化がストップしてしまうということも、大事な視点だと思います。そこで2つの視点で申し上げたいと思います。

 1つは、「市長への手紙」のページを一層充実させていくべきであるということです。昨年の決算委員会でも指摘をさせていただいて、その結果として今も前進をしておられるという点は評価できるわけなんですけれども、これをもう一歩二歩と充実をしていただきまして、他都市をけん引するぐらいの気概で進めていただけたらと思うんです。

 したがって、市民から寄せられた行政への具体的な要望やご御意見を公開し、それへの回答もきめ細かく順次掲載をしていくという取組を是非お願いしたいと思います。

 私の調べた範囲では、17の政令都市のホームページを見ますと、大阪・名古屋・横浜・神戸・福岡など、12都市は既にかなりのものが出来ておるんですけれども、残念ながら京都市は「意見と回答を公開していない」という五つのうちの一つなんです。ここは一つ、京都市の優秀なスタッフの方に張り切っていただいて、より良いものへのグレードアップをしていただくようにお願いをしたいと思います。

 2つ目は、ネット投票とかネットアンケートです。これは非常に多くのサイトでも増えております。こういう取組もしていただいて、若い世代に訴えていく試みにも挑戦していったらどうかという風に思います。

 パブリックコメントや電子会議室という取組もされておられ、一定の成果はあるものの、今後のすそ野の拡大のためにも、お手軽感があり親しみやすいデザインとユニークなテーマを企画する価値はあると思います。

 若手スタッフにも、そういう思いを持っておられ、技術をお持ちの方もいらっしゃるかも分かりません。是非募っていただければいかがでしょうか。この二つについての御見解をお聞かせください。

◎星川茂一副市長
 市政推進に当たっては、広報広聴これが基本だという風に思っています。門川市長の下で、現地現場主義ということで、様々な形での広聴広報活動をしていますけれども、今先生御指摘のホームページを活用すると、これはもう現代社会においては欠かせないツールだという風に思っています。

 幸いにして、私どもは平成19年度で年間9,310万件ということで、指定都市の中でも横浜と大阪に次ぐ第3位のアクセス件数がありまして、非常に有効に活用されているという風に思っておりまして、先ほど紹介いただきました、昨年11月のリニューアルをした結果も踏まえまして、更に件数が増えて、1.5倍程度に毎日増えております。

 そんなこともありまして、本年5月に、日本広報協会の全国コンクールで特選に本市のホームページが選ばれたという状況でもございまして、こういうことを踏まえまして、更に前進を図っていきたいという風に思っています。

 具体的に2点ございました。市長への手紙については、何とか公開するようになりました。これから4月分以降については、回答についても要約版をアップしていきたいと。こうすることによって、私どもも市民の皆さんに対する説明責任が果たせるのではないかという風に思っているところでございます。

 次のネットアンケート等をもっと使うべきではないかということです。5月になりまして、市長からの指示もあり、ふるさと納税のネーミングと内容につきまして、一々アンケートを紙ベースでやりますと大変なんですけれども、先生おっしゃるようにホームページを使うと非常にお手軽に皆さんの意見を聞けるということもありますので、精々こういう形での活用については、今後とも頑張って取り組んでいきたいという風に思っております。

【源氏物語千年紀】

◆吉田委員
 具体的な計画も進んでおられるということで、大変心強く思います。多くの市民の方も喜ばれると思います。

 次に、「源氏物語千年紀」についてお聞きします。私は、この事業は京都が文化芸術の都として世界に発信していく重要なソフトであると確信をしております。いよいよ11月1日、ジャスト1,000年目がやって参ります。京都市民、府民にとどまらず、国内外の人々が期待をしておられます。京都を訪れるすべての観光客の方に喜んでいただけるすばらしいおもてなしを是非お願いしたいと思っています。

 そこで、私が大事だと思うのは「市民参加」の視点なんですね。具体的には、例えば招待枠を設けて、高齢者や学生の方を式典やイベントに優先的に来ていただくようにするとか、あるいは逆に、海外から来られるアーティストとか学術者の方を学校や施設に招いて交流をするようなプランもよいのではないかと思います。

 同時に、大事だと痛感するのは、事業の「継続性」という視点であります。11月のメインイベントが終わったら、潮が引くようにしぼんでしまっては、余りにも残念だと思います。

 幸いにも、京都は源氏物語以外にも、枕草子に代表される王朝文化、今昔物語や梁塵秘抄などの庶民文化の記念碑的傑作の舞台でもあります。また、源氏と言えば平家、平家物語の舞台も京都です。源義経も京都出身! そういう意味で、多くの方々が提唱されている「古典の日」創設と定着への原動力に京都がなっていくべきではないでしょうか。

源氏千年紀で培ったノウハウを生かして、古典文化のすばらしさを内外に発信する事業を今後も展開をしていただきたいと思います。この市民参加という視点,事業継続の視点の二つについて、いかがでしょうか。

◎細身副市長
 源氏物語につきましては、委員のおっしゃるように、非常に貴重な京都の財産だと。私は、恥ずかしながら、このキャンペーンがあるまで,世界で初めての小説だとは知りませんでして、つくづく貴重な財産を京都は持っているなと思います。

 ところで、今御質問の件ですが、本市では11月1日に行う記念式典を中心に、10月から11月にかけて、国際フォーラムや源氏コンサートなど、多彩な事業を展開致しますが、御提案のように、招待客については、貴重な御意見として、今後よく検討して参りたいと思います。

 それから、今後一過性に終わらないようにということで、11月1日を源氏物語をはじめとする日本の古典文学に親しむ日と定めます。そして、京都府・京都商工会議所・宇治市など連携して、伝統文化を大切にする心を養う国民的な運動につなげていくことによりまして、今回の千年紀事業を単なる一過性に終わらせることないようにという、委員の御心配えお我々も強く受け止めまして、今後努力していきたいと思います。

【エコドライブ大作戦】

◆吉田委員
 よろしくお願いしたいと思います。最後に、エコドライブ大作戦についてお伺いします。

この事業は、先日の局別質疑でも多くの委員が取り上げた注目の事業です。また、「大作戦」という、どこかで聞いたようなネーミングも大変に親しみやすいので、私も大いに期待をしている一人です。

 ところが、残念ながら、このエコドライブ大作戦、まだまだ御存じの方が少なくて、効果があるということはお聞きをしても、多くの市民の皆さんは、まだピンと来ていないのではないかと思います。是非、周知徹底のためにも、多くの方々の注目を集めるような工夫をお願いしたいと思います。エンターテインメント性に富んだ取組をすることも一つであると思いますが、いかがでしょうか。

 また、新たに免許を取得する若い世代への浸透のために、教習所とタイアップをするなど、努力を重ねていただきたい。現在運転している中高年の世代も、免許更新で定期的に試験場に行くわけですから、この点も大事だと思います。いかがでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。

◎星川副市長 
 本日も朝からCO2対策待ったなしという議論ですけれども、その中でも、やっぱり運輸部門、特に自動車の排出量をどう減らすかということが大きな問題だと思っています。自動車の総量を減らすと、「歩くまち」施策を進めるということと同時に、京都市でエコカーとエコドライブ、これはもう、総合的にやっていこうというのが今回の大きな方向でございます。今おっしゃるように、このためには、市民の中にどれだけ広がるかというのが基本でございますので、現在6万人のエコドライバーズの登録を目指してやろうということになっております。

 免許試験場の方々に対する講習でありますとか、まちなかエコドライブ大行動も含めて、大作戦をやっていきたいという風に思っております。

【要望:携帯電話機器リサイクル】

◆吉田委員
 少し時間がありますので,最後に要望させていただきたいと思います。京都市では、循環型社会推進基本計画を策定されまして、リサイクルについても様々な取組が行われています。廃油・トレー・乾電池・スプレー・家電・パソコンなど、これらについてはきめ細かく対策が論じられているんですけれども、その中に「携帯電話機器」のリサイクルが見当たらない、ある意味盲点になっています。

携帯電話は既に1億台普及していると言われ、ほとんどの大人が過去に何度も買い替えてきていると思われるんですけれども、多くの人が意識せずにそのまま所有してしまっていると。中には廃棄する人もいるという状況のようです。

しかしながら、携帯電話の機器にはリチウムやインジウムという再利用可能な希少金属、レアメタルと言うらしいですけれども、こういうものや金銀などの貴金属が含まれており、「都市鉱山」と表現されるぐらいの資源の宝庫だと言われておりまして、埋蔵量は一つの国に匹敵するぐらいと言われているようであります。

 ところが、携帯リサイクルを推進しているモバイルリサイクルネットワークという団体の調査によりますと、回収実績は2000年が1,362万台、これが6年後の2006年の計算では662万台に半減しているということで、循環型社会の促進のためにも、携帯電話機器のリサイクルを迅速にするべきという思いで、公明党の青年局では、全国的な署名運動の推進をしています。

 国への法整備の要望、各自治体での市民啓発の動き、様々あると思います。京都市でも本格的な取組を是非お願いしたい。このことを要望して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

(源氏物語千年紀に関する質疑はこの日以外にも各局別に具体的な提案を重ね、その大部分が現実に実施されました。京都国際マンガミュージアムで「源氏物語特集」コーナーを設置するとか、様々なトピックを集約したトータルな記念書籍を刊行するなどです。携帯機器リサイクルも京都市が他都市に先駆けて事業化され、大きな成果を上げました)