「KAGEROU」 齊藤智裕
「第五回ポプラ社小説大賞受賞作」を購入しました。作者・齊藤智裕は、俳優の水嶋ヒロ。話題沸騰の新刊ですが、幸運にも店頭に残っていたのです。
その日のうちに読みました。スッと心のヒダに入ってきました。情景描写も心理描写も、標準以上のレベル。素性を隠して応募して受賞したことに対して、週刊誌等が疑いの目を向け、スキャンダラスに報じていますが、私は正直言って納得しました。これは他の人が書いても受賞したやろな・・・・と。
キワモノではなく、構成も文章も高水準で、何より内容が素晴らしかったです。あー、ええもん読めた!
新刊本ですので、詳しいストーリーを紹介するのは控えますが、まさに“おすすめ”です。ぜひご一読あれ。
それにつけても、今年の下半期は、書店で購入したり市会図書館で借りたりして、20冊以上の地方行政・地方分権に関係する専門書籍(それも分厚い)を読み続けていて、頭がパンク寸前の日々。ちょっとでも息抜きをと、時間の合間を縫って今野敏などの警察ものを、バスや電車の移動時間等を利用して読んでいました。
今年最後のエンタメ小説を何にしようかなと思っていたところに、偶然にも店頭で発見。机には3冊くらいの読みかけのお堅い書籍があったのですが、これをしばらく傍らに退いていただき、時間の過ぎるのも忘れて読みふけったのです。
読後感は、ほんわかとした心地よさ。スペクタクルではないものの、上質のどんでん返しが痛快で、余韻に浸ることができますよ。
さっき聞いたら、家内も私の後に読み始めて、やはり1日で読めたとのこと。「ぺろっと読めたわ。まぁまぁ値打ちあるやん」ですって。
ファンの方もそうでない方も、水嶋ヒロの顔を思い浮かべて読んでみて下さいね。事務所とケンカして結婚したり、移籍したりと、芸能界のタブーに挑戦する彼が、オトコマエに見えてくるんじゃないかな。
オトコマエで、スポーツ万能で、英語ペラペラで、一流大学出身で、そのうえ小説も書けるなんて、なんてヒガマレやすい男なのでしょう。この際、やきもちの感情を放り投げて、素直に1人のケタ外れの才能に脱帽しようではありませんか。そして、将来を期待感いっぱいで見守っていこうじゃありませんか。
ね、ちょっとえーこと言うでしょ?