「探偵ガリレオ」シリーズ 東野圭吾
うれしいことに、このHPを読んでいただいている方々から、時おり素敵なアドバイスを頂戴することがあります。その中に、この「おすすめ読書」でピックアップする書籍についてもリクエストがありました。
「レ・ミゼラブルとか宮本輝も良いが、いかにも公明党議員そのままやんけ。もっと意外性のある、エンターティンメントも取り上げたらどない?」
なるほど! ホンマにそのとおりです。いちびって見栄を張ってるつもりでは無かったのですが、もっと肩の力を抜いて書く時も必要ですよね。実はこの私、サラリーマン時代は通勤電車で現代ミステリーを手当たり次第に読んでいました。宮部みゆき、真保裕一、貫井徳郎、横山秀夫、藤原伊織、新堂冬樹・・・・。仕事の合間に本屋さんやブックオフ等を渡り歩いてたもんです。
そして、その代表的作家が、今回取り上げる東野圭吾です。映像化された作品の多いのが大きな特徴であることは、ご存知の通り。中山美穂主演の『眠りの森』、TOKIOの国分太一主演のその名も『トキオ』、綾瀬はるか主演『百夜行』、そして昨年大ヒットしたドラマ『流星の絆』などなど。
これらのドラマに共通する我が家のパターンは、いずれも初めのころは家族が熱心に視ているのを横目に「何が嬉しいてあんなん視てるねん」とスネてる私が、途中から無視できなくなって一緒にハマッてしまう、というものです。家族にとっては迷惑この上ない話ですが、満面の笑みを浮かべて「そやろ~!」と言いながら、あらすじや登場人物を勝ち誇って教えてくれておりました。
そんななかで、不思議なことに、私自身が購入して愛読していた本は、ちょっと前まで映像化されていませんでした。そうです、『探偵ガリレオ』『予知夢』『容疑者Xの献身』のガリレオシリーズ。これが2年前に福山雅治・柴崎コウ主演でドラマ化された時は忘れられません。やはりと言うか、アホと言うか、「オレのイメージと合わへん!」とスネていたのです。
でも、何週かを見てしもたら、もうダメです。病みつきですがな。天才物理学者湯川学は福山雅治のあのイメージで定着してしまいました。ほとんどの視聴者も同じインパクトを受けたのではないでしょうか。どうです、原作に登場しない内海薫の活躍も、スゥ~ッと受け入れてしまってませんでしたか?
そんな庶民感覚を鋭く見抜いて、サービス精神旺盛な作者は昨年同時刊行した2つの最新作『聖女の救済』『ガリレオの苦悩』で、何と内海薫を登場させてくれています。「さすが東野圭吾!」と快哉を叫びました。そして映画『容疑者Xの献身』をレイトショーで見に行きました。じ~んと余韻に浸る感動作に痺れました。良かったですよ。
作品の性格上、あらすじをご紹介できませんので、思いっきり恐縮ですが、どの作品も愛着があります。意外性に富んだドラマが二転三転し、練り上げられた謎解きと魅力的な人物造形が見事。それでいて抵抗感なく読み進めていけるのです。これぞおすすめ!
映画が先か原作が先か――と、よく問題になりますが、東野圭吾作品はあまり関係が無いと思います。「どっちも面白い!」が正味の感想です。本屋さんとレンタル屋さんをはしごして、同じ作品を見比べても楽しいでのは?
※次回は、ちょっとハタケを変えて、歴史ものを紹介させていただく予定です。お楽しみに。